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わが国における収益認識に関する初の包括的な会計基準である「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)が2021年4月から適用開始予定となっています。この新しい会計基準の適用に伴い、企業の収益計上に係る考え方が大きく変わろうとしています。新型コロナウィルス感染症拡大に伴い、いま現在、企業を取り巻く収益環境は激変していますが、当該会計基準は経理財務部門だけでなく、営業部門や製造部門、IT部門等の企業内部の幅広い領域に大きな影響を及ぼす可能性があります。そこで本シリーズでは、「収益認識に関する会計基準」(以下、「会計基準」という)について、事例等も交えながらわかりやすく解説していきたいと思います。
第8回では、表示および開示について解説します。収益認識に係る表示および開示については、本会計基準の公表後(2018年3月)、その適用日(2021年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首)までに検討することとされていました。企業会計基準委員会(ASBJ)では、その後検討を進めた結果、2020年3月31日、改正企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」等を公表し、その取扱いについて明確化しています。
収益認識に係る表示について、損益計算書上は、顧客との契約から生じる収益の額を、適切な科目(例えば、売上高、売上収益、営業収益等)をもって表示します(適用指針第104-2項)。また、顧客との契約から生じる収益の額は、それ以外の収益と区分して損益計算書に表示するか、両者を区分して表示しない場合には、顧客との契約から生じる収益の額を注記することとなります(会計基準第78-2項)。
顧客との契約に重要な金融要素が含まれる場合、顧客との契約から生じる収益と金融要素の影響(受取利息または支払利息)は、損益計算書において区分して表示します(会計基準第78-3項)。
収益認識に係る表示について、貸借対照表上は、契約資産、契約負債または顧客との契約から生じた債権を、例えば、以下の適切な科目をもって表示します(適用指針第104-3項)。
契約資産:契約資産、工事未収入金等
契約負債:契約負債、前受金等
顧客との契約から生じた債権:売掛金、営業債権等
契約資産と顧客との契約から生じた債権のそれぞれについて、貸借対照表に他の資産と区分して表示しない場合には、それぞれの残高を注記します。また、契約負債を貸借対照表において他の負債と区分して表示しない場合には、契約負債の残高を注記します(会計基準第79項)。
収益認識に関する会計基準においては、開示すべき注記の量が多いため、注意が必要となります。顧客との契約から生じる収益に関する重要な会計方針としては、次の項目を注記します(会計基準第80-2項)。
【他社開示例】
株式会社インターネットイニシアティブ 2020年3月期の有価証券報告書(IFRS)
重要な会計方針の抜粋
収益認識に関する注記としては、顧客との契約から生じる収益およびキャッシュ・フローの性質、金額、時期および不確実性を財務諸表利用者が理解できるようにするため、以下の項目を注記します(会計基準第80-5項)。
以上
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