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法務省は、2020年8月12日、「会社計算規則の一部を改正する省令(令和2年法務省令第45号)」(以下、「本省令」という)を公布しました。
本省令は、企業会計基準委員会(ASBJ)による「収益認識に関する会計基準(改正企業会計基準第29号)」等の改正(以下、「改正収益認識会計基準」という)、および「会計上の見積りの開示に関する会計基準(企業会計基準第31号)」等(以下、「見積開示会計基準」という)の公表を受け、会社計算規則について追加・変更等の改正を行うものです。
本省令は、公布の日から施行され、また経過措置が設けられています。
ASBJは、2020年3月31日、改正収益認識会計基準を公表し、収益認識に関する表示および注記事項についての要求事項を新たに定めました。これを受け、本省令では主に以下のような改正を行っています。
損益計算書等における「売上高」の表示について、売上高以外の名称を付すことが適当な場合には、当該名称を付すことが明記されています(第88条第1項第1号)。
重要な会計方針に係る事項に関する注記について、「収益及び費用の計上基準」(第101条第1項第4号)には以下を含むことが定められています(第101条第2項)。
① 当該会社の主要な事業における顧客との契約に基づく主な義務の内容
② ①に規定する義務に係る収益を認識する通常の時点
③ ①および②以外に当該会社が重要な会計方針に含まれると判断したもの
収益認識に関する注記について、重要性が乏しいものを除き、以下の注記事項が定められています(第115条の2)。
① 当該事業年度に認識した収益を、収益およびキャッシュ・フローの性質、金額、時期および不確実性に影響を及ぼす主要な要因に基づいて区分した場合における当該区分ごとの収益の額その他の事項(※1)
② 収益を理解するための基礎となる情報(※2)
③ 当該事業年度および翌事業年度以降の収益の金額を理解するための情報(※1)
ただし、金融商品取引法第24条第1項の規定により有価証券報告書を提出する大会社(会社法第444条第3項に規定する株式会社)以外の株式会社にあっては、上記①および③の事項を省略することができます。
また、重要な会計方針に係る注記事項(第101条)と同一であるときは、上記①~③の注記は不要とされています(第115条の2第2項)。
※1 連結計算書類を作成する場合は、個別注記表における注記は不要(第115条の2第3項)
※2 個別注記表と連結注記表の注記事項が同一である場合で、個別注記表にその旨を注記するときは、個別注記表における注記は不要(第115条の2第4項)
ASBJは、2020年3月31日、見積開示会計基準を公表し、会計上の見積りに関する開示についての要求事項を追加しています。これを受け、本省令では主に以下のように会計上の見積りに関する注記を追加しています(第98条第1項第4号の2)。
① 会計上の見積りにより当該事業年度に係る計算書類または連結計算書類にその額を計上した項目であって、翌事業年度に係る計算書類または連結計算書類に重要な影響を及ぼす可能性があるもの
② 当該事業年度に係る計算書類または連結計算書類の①の項目に計上した額
③ ①および②のほか、①の項目に係る会計上の見積りの内容に関する理解に資する情報 (※3)
ただし、以下の場合には、上記①~③の事項の注記は不要とされています(第98条第2項第1号、第2号、第5号)。
・会計監査人設置会社以外の株式会社の個別注記表
・持分会社の個別注記表
※3 個別注記表と連結注記表の注記事項が同一である場合で、個別注記表にその旨を注記するときは、個別注記表における注記は不要(第102条の3の2第2項)
本省令は公布の日から施行されます。ただし、以下の経過措置が定められています。
2021年4月1日以後に開始する事業年度に係る計算書類および連結計算書類について適用し、同日前に開始する事業年度に係るものについては、なお従前の例によるとされます。ただし、2020年4月1日以後に終了する事業年度に係るものについては、早期適用することができます。
2021年3月31日以後に終了する事業年度に係る計算書類および連結計算書類について適用し、同日前に終了する事業年度に係るものについては、なお従前の例によるとされます。ただし、2020年3月31日以後に終了する事業年度に係るものについては、早期適用することができます。
以上
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代表取締役社長 菊川 真