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【コロナ関連】ASBJ、「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方(2020年6月26日更新)」を公表

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企業会計基準委員会(ASBJ)は、2020年6月26日、第436回企業会計基準委員会の議事概要として、「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方(2020年6月26日更新)」(以下、「本議事概要」という)を公表しました。

 

本議事概要は、先般公表された「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」について、四半期決算における考え方を示したものです。

 

 

経緯

 

ASBJは、2020年4月10日に第429回企業会計基準委員会(4月9日開催)の議事概要を公表し、以下の考え方を表明していました。

 

 

「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方

 

 

  1. 「財務諸表作成時に入手可能な情報に基づいて、その合理的な金額を算出する」上では、新型コロナウイルス感染症の影響のように不確実性が高い事象についても、一定の仮定を置き最善の見積りを行う必要があるものと考えられる。
  2. 新型コロナウイルス感染症については、参考となる前例がなく、今後の広がり方や収束時期等について統一的な見解がないため、外部の情報源に基づく客観性のある情報が入手できないことが多いと考えられる。この場合、新型コロナウイルス感染症の影響については、今後の広がり方や収束時期等も含め、企業自ら一定の仮定を置くことになる。
  3. 企業が置いた一定の仮定が明らかに不合理である場合を除き、最善の見積りを行った結果として見積もられた金額については、事後的な結果との間に乖離が生じたとしても、「誤謬」にはあたらないものと考えられる。
  4. 新型コロナウイルス感染症の影響に関する一定の仮定 は、企業間で異なることになることも想定され、同一条件下の見積りについて、見積もられる金額が異なることもあると考えられる。このような状況においては、どのような仮定を置いて会計上の見積りを行ったかについて、財務諸表の利用者が理解できるような情報を具体的に開示する必要があると考えられ、重要性がある場合は、追加情報としての開示が求められるものと考えられる。

 

 

また、2020年3月期決算の開示情報の内容も踏まえ、上記議事概要の趣旨に合った開示となっていない可能性があり、法定開示書類において追加情報の開示が十分に行われないのではないかとの懸念から、ASBJは、2020年5月11日、第432回企業会計基準委員会(2020年5月11日開催)の議事概要を公表し、上記4の「重要性がある場合」について以下の考え方を示していました。

 

 

会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方(追補)

 

 

  • 上記の「重要性がある場合」については、当年度に会計上の見積りを行った結果、当年度の財務諸表の金額に対する影響の重要性が乏しい場合であっても、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある場合には、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に関する追加情報の開示を行うことが財務諸表の利用者に有用な情報を与えることになると思われ、開示を行うことが強く望まれる。

 

 

四半期決算における新型コロナウイルス感染症の影響に関する開示

 

上記2つの議事概要で示された考え方について、四半期決算における考え方を示して欲しいとの意見が聞かれたことから、ASBJは、本議事概要において以下の考え方を公表しました。

 

  1. 前年度の財務諸表において、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響に関する追加情報の開示を行っている場合で、四半期決算において新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に重要な変更を行ったときは、四半期財務諸表に係る追加情報として、当該変更の内容を記載する。
  2. 前年度の財務諸表において仮定を開示していないが、四半期決算において重要性が増し新たに仮定を開示すべき状況になったときは、四半期財務諸表に係る追加情報として、当該仮定を記載する。
  3. 前年度の財務諸表において追加情報の開示を行っている場合で、四半期決算において新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に重要な変更を行っていないときも、重要な変更を行っていないことが財務諸表の利用者にとって有用な情報となると判断される場合は、四半期財務諸表に係る追加情報として、重要な変更を行っていない旨を記載することが望ましい。

 

以上

 

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