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IASB、「IFRSの年次改善 2015‐2017年サイクル」を公表

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国際会計基準審議会(IASB)は、2017年12月12日、「IFRSの年次改善 2015‐2017年サイクル」を公表しました。この年次改善では、4つの基準書、すなわちIFRS第3号「企業結合」、IFRS第11号「共同支配の取決め」、IAS第12号「法人所得税」およびIAS第23号「借入コスト」に対する狭い範囲の修正を行っています。なお修正内容としては、①基準文言の明確化、②比較的軽微な見落としの修正、③基準間の矛盾点の修正のいずれかに該当します。



【修正内容】


IFRS第3号「企業結合」

修正基準修正の概要
共同支配事業における従来保有持分の会計処理の明確化
  • 企業が共同支配事業である事業に対する支配を獲得した場合または共同支配を獲得した場合について、従来保有していた持分に対する会計処理について明確化が求められていた。
  • 共同支配事業である事業に対する支配の獲得は、段階的に達成される企業結合であることを明確化し、取得企業は、共同支配事業に対して従来保有していた持分を、取得日公正価値で再測定しなければならないとした。

【適用日】
  • 取得日が、2019年1月1日以降開始する事業年度の期首以後となる企業結合より適用する。
  • 早期適用は認められる。

IFRS第11号「共同支配の取決め」

修正基準修正の概要
共同支配事業における従来保有持分の会計処理の明確化
  • 企業が共同支配事業である事業に対する支配を獲得した場合または共同支配を獲得した場合について、従来保有していた持分に対する会計処理について明確化が求められていた。
  • 共同支配事業である事業に対する共同支配を獲得した場合は、従来保有していた持分を再測定してはならないことを明確化した。

【適用日】
  • 2019年1月1日以降開始する事業年度の期首以後に共同支配を獲得する取引から適用する。
  • 早期適用は認められる。

IAS第12号「法人所得税」

修正基準修正の概要
資本に区分される金融商品に係る支払の法人所得税への影響
  • 資本性金融商品に係る配当の法人所得税への影響について、純損益に含めて認識すべきか、それとも資本に直接認識すべきかについて明確化が求められていた。
  • 資本性金融商品に係る配当の法人所得税への影響は、配当の原資となる分配可能利益を生み出した過去の取引や事象に直接関連する。
  • したがって、企業は、分配可能利益を生み出した過去の取引や事象を当初認識した場所に従って、純損益、その他の包括利益または資本のいずれかで認識することを明確化している。

【適用日】
  • 2019年1月1日以降開始する事業年度において、最も古い比較対象期間の期首以後に認識された配当の法人所得税への影響より適用する。
  • 早期適用は認められる。

IAS第23号「借入コスト」

修正基準修正の概要
資産化に適格な借入コスト
  • IAS第23号第14項では、一般目的で借入れた資金によって適格資産を取得した場合、その借入コストの資産化率の算定にあたっては、当期中の借入残高から適格資産の取得のために特別に行われた借入金を除外するとされていた。
  • この点、本修正では、適格資産について意図された使用または販売の準備ができている場合には、当該適格資産を取得するために特別に借入れた資金の残高は、一般目的で借入れた資金の一部として扱う旨を明確化している。

【適用日】
  • 2019年1月1日以降開始する事業年度の期首より適用する。
  • 早期適用は認められる。

以上



関連リンク:
IASB、公開草案「IFRSの年次改善」(2015年‐2017年サイクル)を公表


外部リンク:
International Accounting Standards Board issues annual improvements to IFRS Standards
国際会計基準審議会がIFRS基準の年次改善を公表(ASBJ)
IASBが「IFRSの年次改善2015-2017年サイクル」を公表(JICPA)