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IASB、公開草案「IFRSの年次改善」(2015年‐2017年サイクル)を公表


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国際会計基準審議会(IASB)は、2017年1月12日、公開草案「IFRSの年次改善」(2015年‐2017年サイクル)(以下、「本公開草案」という)を公表した。本公開草案においては、以下の3つの基準に関する修正が提案されている。


コメント期限:2017年4月12日


【修正案】


IAS第12号「法人所得税」

修正基準修正案の概要
資本に区分される金融商品に係る支払の法人所得税への影響
  • 資本性金融商品に係る支払の法人所得税への影響について、純損益に含めて認識すべきか、それとも資本に直接認識すべきかについて明確化が求められていた。
  • この点、IAS第12号の第52B項の要求事項※1は、第52A項に記載されている状況に限定して適用されるのではなく、第58項(a)および(b)に示す状況から生じる場合を除いた、すべての配当に係る法人所得税に適用することが明確化されている。

【適用日】
  • 公開後に決定される日付以後に開始する事業年度から遡及適用する。
  • 早期適用は認められる(要開示)。

※1 配当による法人所得税への影響は、配当の原資となる過去の取引や事象に関連して認識するとされている。参考:第337回 企業会計基準委員会 【審議事項】IAS 第 12 号「法人所得税」-資本に分類される金融商品に係る支払の法人所得税への影響の会計処理


IAS第23号「借入コスト」

修正基準修正案の概要
資産化に適格な借入コスト
  • IAS第23号第14項では、一般目的で借入れた資金によって適格資産を取得した場合、その借入コストの資産化率の算定にあたっては、当期中の借入残高から適格資産の取得のために特別に行われた借入金を除外するとされていた。
  • この点、本修正案では、適格資産について意図された使用または販売の準備ができている場合には、当該適格資産を取得するために特別に借入れた資金の残高は、一般目的で借入れた資金の一部として扱う旨を明確化している。

【適用日】
  • 公開後に決定される日付以後に開始する事業年度より適用する。
  • 早期適用は認められる(要開示)。

IAS第28号「関連会社及び共同支配企業に対する投資」

修正基準修正案の概要
関連会社または共同支配企業に対する長期持分
  • IFRS第9号「金融商品」は、持分法が適用される関連会社および共同支配企業(以下、「関連会社等」)に対する投資には適用されない(IAS第28号第14項)。この点、持分法が適用されない関連会社等に対する純投資の一部を実質的に構成する長期持分(長期貸付金、優先株式等)については、IFRS第9号の範囲に含まれるのかどうかについて明確化が求められていた。
  • 本公開草案では、持分法が適用されない関連会社等に対する他の金融商品に対して、減損に関する要求事項を含むIFRS 第9号を適用するものとし、これには実質的に関連会社等に対する純投資の一部を構成する長期持分である金融商品が含まれることが明確化されている。

【適用日】
  • 2018年1月1日以降に開始する事業年度から遡及適用する(例外規定あり)。
  • 早期適用は認められる。

参考:第338回 企業会計基準委員会 【審議事項】IFRS 第 9 号「金融商品」及び IAS 第 2号「関連会社及び共同支配企業に対する投資」-


以上






外部リンク:
・ASBJ 国際会計基準審議会がIFRS基準の明確化について協議(ED和訳付)
・Annual Improvements cycle 2015-2017


(リンク更新日:2017/04/14)

・JICPA:IASB公開草案「IFRS基準の年次改善 2015-2017年サイクル」に対する意見について
・ASBJ:IASB公開草案「IFRSの年次改善 2015-2017年サイクル」に対するコメント