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金融庁、「金融商品取引法等の一部を改正する法律案」(四半期報告書の廃止)を公表

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金融庁は、2023年3月14日、「金融商品取引法等の一部を改正する法律案」(以下、「本法律案」という)を第211回国会に提出しました。本法律案には、上場企業の第1・第3四半期について、金融商品取引法上の四半期報告書を廃止し、取引所規則に基づく四半期決算短信に一本化する提案が含まれています。

 

 

経緯

 

金融庁は、2021年6月に設立された金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」における企業情報の開示の在り方についての検討を踏まえ、2022年12月、「金融審議会 ディスクロージャーワーキング・グループ報告」(以下、「DWG報告」という)を公表しました。

 

【DWG報告】

  1. 四半期開示をはじめとする情報開示の頻度・タイミング
  2. サステナビリティに関する企業の取組みの開示

 

本法律案は、DWG報告での提言内容を受け、第1および第3四半期報告書の廃止を含め、企業開示の効率化の観点から提出されたものです。

 

なお、サステナビリティに関する企業の取組みの開示に関しては、2023年1月31日、「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正が既に公表されています。

 

 

四半期報告書の廃止について

 

本法律案のうち、第1および第3四半期報告書の廃止に関連する部分の概要は以下のとおりです(参考:金融庁ウェブサイトの説明資料)。

 

上場企業の第1および第3四半期報告書の廃止

 

上場企業の第1および第3四半期に関して、金融商品取引法上の四半期報告書を廃止し、取引所規則に基づく四半期決算短信に一本化することが提案されています。

 

第2四半期報告書の半期報告書への変更

 

第1および第3四半期報告書の廃止に伴い、第2四半期報告書は半期報告書への変更が提案されています。その記載内容に関しては、現行の第2四半期報告書と同程度(具体的な内容は内閣府令で規定される予定)とし、見直し後も監査人によるレビューおよび決算後45日以内の提出期限は、従来と同じ取扱いが提案されています。

 

なお、上場会社等のうち金融システムの安定を図るためその業務の健全性を確保する必要がある事業として内閣府令で定める事業を行う会社(金融機関等)については、従来と同じ決算後60日以内の提出期限が提案されています。

 

 

半期報告書および臨時報告書の公衆縦覧期間の延長

 

半期報告書および臨時報告書は、法令上の開示情報としての重要性が高まることから、公衆縦覧期間(各3年間・1年間)を5年間(課徴金の除斥期間と同様)へ延長することが提案されています。

 

 

適用時期

 

四半期報告制度の廃止および公衆縦覧期間の延長に関する規定は、2024年4月1日から施行となります(金融商品取引法等の一部を改正する法律案附則第1条第3号)。

 

ただし、2024年4月1日より前に開始した四半期に係る四半期報告書の提出については、なお従前の例によるとの経過措置が設けられているため、2024年4月1日以後開始する四半期から四半期報告書が廃止されることになります(同第2条第1項)。

 

改正後の規定に基づく半期報告書については、2024年4月1日以後に開始する事業年度に係るものから提出が求められます(同第3条第1項)。ただし、2024年4月1日以後に提出期限が開始する第1四半期報告書を提出する場合、当該四半期が属する事業年度から改正後の半期報告書の規定を適用することになります(同第3条第2項)。

 

以上

 

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