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金融庁は、2021年2月3日、「会社法の一部を改正する法律」(令和元年法律第70号。以下、「改正会社法」という)および「会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(令和元年法律第71号)の施行等に伴い、金融庁関係政府令等の改正を公表しました。
上記金融庁関係政府令等の改正(以下、「本改正」という)には、以下が含まれています。
改正会社法により、「会社法」(平成17年法律第86号)第202条の2において、金融商品取引法第2条第16項に規定する金融商品取引所に上場されている株式を発行している株式会社が、取締役等の報酬等として株式の発行等を行う場合には、金銭の払込み等を要しないことが新たに定められました。これを受けて、本改正では、財務諸表等規則等について、以下の改正が行われています。
自社株式オプションの定義に、「金銭の払込み又は財産の給付を要しないで原資産である当該自社の株式を取得する権利」が追加されています(財務諸表等規則第8条25項、連結財務諸表規則第2条21項)。
純資産の部の分類に新たに「株式引受権」が追加され、株式引受権を「株式引受権」の科目をもって掲記することが追加されています(財務諸表等規則第59条、第67条の2、連結財務諸表規則第42条、第43条の2の2、中間財務諸表等規則第32条、第36条の2の4、中間連結財務諸表規則第44条、第45条の2の2、四半期財務諸表等規則第48条、第50条の2、四半期連結財務諸表規則第54条、第56条の2)。
株主資本等変動計算書の分類に新たに「株式引受権」が追加され、当期首残高、当期変動額(一括して記載する。ただし、主な変動事由ごとに記載または注記することを妨げない)および当期末残高に区分して記載することが追加されています(財務諸表等規則第100条、第104条の2、連結財務諸表規則第71条、第74条の2、中間財務諸表等規則第59条、第63条の2、中間連結財務諸表規則第72条、第75条の2)。
ストック・オプションもしくは自社株式オプションの付与または自社の株式の交付に関する注記の対象となる取引に、「取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い」が適用される取引が追加されています(財務諸表等規則ガイドライン8の14、8の16)。
本改正では、企業内容等開示府令等について、以下の改正が行われています。
上記のとおり、改正会社法により取締役等の報酬等として株式の発行等を行う場合には、金銭の払込み等を要しないことが新たに定められたことに伴い、純資産の部の分類に新たに「株式引受権」が設けられました。
主要な経営指標等の推移に記載する自己資本比率および自己資本利益率については、「新株引受権」の金額のみならず、「株式引受権」の金額も純資産額から控除して算定することになります(第二号様式 記載上の注意(25))。
改正会社法により、株式交付制度が創設されています。ここで株式交付とは、株式会社が他の株式会社をその子会社とするため、当該他の株式会社の株式を譲り受け、当該株式の譲渡人に対して当該株式の対価として当該株式会社の株式を交付することをいい、組織再編の1つと位置付けられます(改正会社法第2条32号の2)。
本改正では、株式交付制度への対応として株式交付に関連した定めが追加されています(第二号様式 記載上の注意(33)、(52)等)。
改正会社法により、役員等がその職務の執行に関して責任追及を受けるなどして生じた費用等を株式会社が補償する補償契約や、役員等のために締結される賠償責任保険契約に関する規定が新設されたことを受けて、本改正では、「コーポレート・ガバナンスの概要」において、当該契約を締結した場合には、締結した契約の概要を記載することが必要となります(第二号様式 記載上の注意(54))。
改正会社法では、監査役会設置会社や監査等委員会設置会社の取締役会が、取締役の個人別の報酬等についての決定方針として定めるべき事項等が新たに規定されています。これを受けて、本改正では、新たに以下のとおり開示が拡充されています(第二号様式 記載上の注意(57))。
本改正は、改正会社法の施行日である2021年3月1日から施行されます。
コーポレート・ガバナンスの概要における責任限定契約、補償契約および役員等賠償責任契約に関する規定は、施行日(2021年3月1日)前に終了する事業年度に係る有価証券報告書には適用されません。
また、補償契約および役員等賠償責任保険契約の開示に係る規定は、施行日前に締結された契約は対象ではありません(附則第3条、第4条)。
以上
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