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Q48 特定株主等によって支配された欠損等法人の欠損金繰越の不適用とはどのような制度でしょうか?

トランザクションサービスチーム


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A48

特定株主等が欠損金や含み損を有する法人(欠損等法人)を買収した上で、その法人の事業を大幅に変更する等した後に、欠損金や含み損と当該新事業の利益を相殺することは租税回避行為にあたるため、このような租税回避行為を防止するために設けられた制度です。
欠損等法人において、特定支配関係が生じた後5年以内に、以下の1から5までのいずれかに該当する場合は、該当日の属する事業年度以降において、それ以前に生じた欠損金を繰越すことができません(法法57条の2第1項)。
ここで「特定支配関係」とは、50%超の持株関係のことをいい、「欠損等法人」とは、株主との特定支配関係が生じる前に発生した青色欠損金または評価損資産を有する会社のことをいいます。
1.欠損等法人が、特定支配日の直前において事業を営んでいない場合において、特定支配日以後に事業を開始すること(法法57条の2第1項第1号)2.欠損等法人が、特定支配日の直前において営む事業のすべてを、特定支配日以後に廃止し(または廃止することが見込まれている場合)、旧事業の特定支配日の直前における事業規模のおおむね5倍を超える資金の借入または出資を受け入れること(法法57条の2第1項第2号)3.特定支配関係者等が、欠損等法人に対する債権を取得している場合において、欠損等法人が旧事業の特定支配日の直前における事業規模のおおむね5倍を超える資金借入等を行うこと(法法57条の2第1項第3号)4.上記1,2,3のいずれかに該当する場合において、欠損等法人が自己を被合併法人(消滅会社)とする適格合併を行い、または欠損等法人の残余財産が確定すること(法法57条の2第1項第4号)5.欠損等法人が特定支配関係を有することとなつたことに基因して、欠損等法人の特定支配日の直前の役員のすべてが退任し、かつ、特定支配日の直前において欠損等法人の業務に従事する使用人(旧使用人)の総数のおおむね20%以上に相当する数の者が欠損等法人の使用人でなくなり、旧使用人が従事しない事業の事業規模が、旧事業の特定支配日の直前における事業規模のおおむね5倍を超えること(法法57条の2第1項第5号)  法法57条の2の規定は、組織再編税制より優位にあるため、欠損等法人を買収した後に組織再編成を行う場合には、この規定を確認する必要があります。