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【コロナ関連】新型コロナウィルス(COVID-19)に係る法定開示の状況

プライムジャパン・コンサルティング
会計情報リサーチ

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新型コロナウイルス感染症(covid-19)の拡大に伴い、業績への影響等に関する開示が増えています。直近で開示された四半期報告書によると、Covid-19に係る記載を行った企業の多くが、「第2【事業の状況】」の「2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】」において、先行きに対する不透明な状況や経済への影響を懸念する記載を行っています。また、「重要な後発事象」として開示した企業もあります。一方、適時開示情報では、「業績予想に与える影響は軽微である」旨を開示しているケースが目立ちます。

 

1.有価証券報告書における開示の事例

 

(1)「第2【事業の状況】」の「1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】」における記載例

 

① ヒューリック㈱(2019年12月31日 有価証券報告書)


(2)経営環境
我が国経済は、設備投資や国内需要を中心に概ね堅調に推移しておりましたが、世界経済における米中貿易摩擦問題などの影響に加え、新型コロナウイルスの感染拡大懸念から、原油市場・金融市場の不安定さが増大しており、予断を許さない状況となっています。不動産事業環境におきましても、こうした経済状況が影響を及ぼす可能性があるため、今後の動向を留意する必要があります。

 

② ㈱TRUCK-ONE(2019年12月31日 有価証券報告書)


(3)経営環境及び対処すべき課題等
今後のわが国経済の見通しにつきましては、国内景気はオリンピック等の大規模イベントを控える一方、新型コロナウイルスによる感染症の拡大による景気の下振れは不可避であると思われます。このような状況の中にあって、当社グループは利幅は縮小傾向にあるものの、引き続きニーズの集中する高年式車両を中心とした仕入れ取扱いに注力し、全国のユーザーに対して販路の拡大を図ってまいります。また、レンタル・リース事業においても当社拠点網を通じて一層の業容拡大を目指します。さらに子会社が行っている運送関連事業とのシナジー効果を高めていくことで、これからも顧客満足度の高いサービスを提供してまいります。

 

※ その他の会社事例
・㈱ポーラ・オルビスホールディングス
・DMG森精機㈱
・東邦レマック㈱
・㈱山本製作所 など

 

(2)第2【事業の状況】」の「3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】」における記載例

 

① ㈱ソリトンシステムズ(2019年12月31日 有価証券報告書)


1.経営成績等の状況の概要
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度について、国内では、良好な雇用環境が継続し、軽減税率の実施などにより消費税増税の影響が限定的で個人消費は底堅く推移したものの、外需の伸び悩みから製造業を中心に企業収益や生産活動が落ち込みました。一方、海外は、米中の通商問題による中国景気の減速の影響が新興国にも波及し、また、降って湧いたコロナウイルス、英国のEU離脱問題などにより、先行きが不透明な状態が続きました。

 

※ その他の会社事例
・㈱ポーラ・オルビスホールディングス

 

(3)「第5【経理の状況】」の「重要な後発事象」の記載例

 

① 中道リース㈱(2019年12月31日 有価証券報告書)


今般発生している新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、当社顧客に対する営業債権について、一部回収が困難となる可能性があります。なお、当該損失が翌事業年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に及ぼす影響については現時点では合理的に算定することは困難でありますが、貸倒関連費用の増加が見込まれます。

 

② ㈱ペッパーフードサービス(2019年12月31日 有価証券報告書)


2.継続企業の前提に関する事項
日本国政府は、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症に関連した感染症対策の基本方針等を公表しましたが、それ以降消費者は外出等を控え外食需要に重要な影響を与えております。この結果、2020年3月以降、当社の来店客数は顕著に減少し、売上高が著しく減少しております。

 

2.四半期報告書における開示の事例

 

(1)「第2【事業の状況】」の「1【事業等のリスク】」における記載例

 

① ㈱エイチ・アイ・エス(2020年1月31日 四半期報告書)


当第1四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて、以下の追加すべき事項が生じております。
なお、文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
2019年12月以降中華人民共和国湖北省武漢市を中心に発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大に伴い、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

※ その他の会社事例
・Hamee㈱

 

(2)「第2【事業の状況】」の「2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】」における記載例

 

① ㈱プラネット(2020年1月31日 四半期報告書)


(1) 業績の状況
当第2四半期累計期間における日本経済は、雇用・所得環境の改善が続き、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方、米中貿易摩擦の長期化や中国・欧州経済の減速に加え、新型コロナウィルス感染症の拡大などの影響により、先行きに対する不透明感が増しました。

 

② アゼアス㈱(2020年1月31日 四半期報告書)


(1) 経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、米中の貿易摩擦を巡る不確実性の影響もあり、輸出や生産の弱さが続いているものの、企業収益も引き続き底堅く推移し、個人消費の持ち直し等により緩やかに回復しています。しかしながら、米中通商問題の動向や中国経済の先行きなど、海外経済に関する不確実さもあり、加えて、中国湖北省で発生した新型コロナウイルスの感染拡大が世界経済に影響を見せ始めております。
このような環境下、当第3四半期連結累計期間においては、主力事業であります防護服・環境資機材事業の増収増益を背景に、売上高は7,375,160千円(前年同四半期比6.1%増)、営業利益は303,658千円(前年同四半期比116.0%増)、経常利益は314,741千円(前年同四半期比83.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は216,974千円(前年同四半期比87.7%増)となり増収増益となりました。

 

※ その他の会社事例
・サツドラホールディングス㈱
・クミアイ化学工業㈱
・Hamee㈱  他多数

 

(3)「第5【経理の状況】」の「重要な後発事象」の記載例

 

① ㈱梅の花(2020年1月31日 四半期報告書)


新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。影響額については、提出日現在では算定することが困難であります。

 

② 日産自動車㈱(2019年12月31日 四半期報告書)


新型コロナウイルス感染症の中国での感染拡大の影響により、当社グループでは、中国の車両製造5工場における稼働を2020年2月3日より順次停止するとともに、中国からの部品調達不足による国内工場における減産も行っている。また、その他の国における影響については現在精査中である。
当該影響により2020年3月期第4四半期連結会計期間以降の連結業績に対する影響が見込まれるが、当該影響額を合理的に見積もることは現時点では困難である。

 

③ 極楽湯ホールディングス(2019年12月31日 四半期報告書)


(新型コロナウイルスによる感染症への対応)
当社グループが中国で運営している大型温浴施設について、フランチャイズ(以下、「FC」)も含め全店臨時休業といたしました。
(1)1月23日から休業 武漢・直営1店
(2)1月25日から休業 上海・直営2店/FC3店、無錫・FC1店(江蘇省)
(3)1月26日から休業  長春・直営1店(吉林省)
   ※全店、営業再開日は未定です。
中国では1月24日から春節(旧正月)の大型連休に入っておりますが、この度の新型コロナウイルスによる肺炎により、武漢市を発端に上海市や中国各地で多くの娯楽施設や観光施設が政府関連当局の要請もあり臨時休業しており、ほとんどの国民が外出を控える状況が続いております。
このような中、極楽湯もお客様の来店があまり見込める状況になく、また、従業員の安全も考慮した結果、中国全店(直営4店・FC4店)臨時休業することといたしました。
今後につきましては、さまざまな地域で起きている感染症の不安が落ち着くなど政府関連当局の見解と状況を鑑みて順次営業を再開する予定であります。

 

3.適時開示情報における開示の事例

 

(1)業績予想の修正

 

① 株式会社ヴィア・ホールディングス(2020年3月18日)


新型コロナウイルスの影響により、消費マインドの急激な低下や2月下旬より宴会のキャンセルが相次ぐなど、特に大型の居酒屋において影響が大きく、前回発表予想に比べて売上高800百万円の減少とそれに伴う営業利益500百万円の減少を見込んでおります。

 

② 株式会社SKIYAKI(2020年3月13日)


2. 特別損失(減損損失)の内容及び差異の理由
前回発表予想(2020年3月11日)においては、事前に当社の会計監査人である監査法人と協議し、最善の見積りを行った上で業績予想を修正いたしました。しかし、昨今の新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大がライブ・コンサート制作事業に及ぼす影響の大きさに鑑み、連結子会社である株式会社SKIYAKI LIVE PRODUCTIONの投資に係るのれんの回収可能性について監査法人と再度慎重に協議した結果、同社の投資に係るのれんを全額減損処理すべきという結論に至りました。
これに伴い、特別損失として減損損失150百万円を計上するとともに、非支配株主に帰属する当期純損失が前回予想比で4百万円増加したため、親会社株主に帰属する当期純損失が146百万円増加し、親会社株主に帰属する当期純損失△205百万円を計上いたしました。
なお、当該減損処理を行った結果、連結貸借対照表上ののれん残高は、2020年1月期末現在で32百万円となっております。

 

③ 青山商事株式会社(2020年3月11日)


ビジネスウェア事業おいて、市場環境の変化及び新型コロナウイルス感染症の影響等により、売上減少が見込まれることなどから、店舗に係る減損処理を実施し、期末累計で50 億円(内 14 億70 百万円は2019 年11 月8 日公表の業績予想に織り込み済)を2020 年3 月期通期連結及び個別業績に計上する見込みとなりました。

 

(2)投資有価証券の売却及び貸倒引当金繰入額の計上

 

① 株式会社東京きらぼしフィナンシャルグループ(2020年3月18日)


昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受け、将来の経済環境は、より一層不確実性が増し、また、当社グループの主要なお客さまである中小企業等におきましても事業活動への影響が深刻となって来ております。
当社グループは、新型コロナウイルス感染症対策を拡充するとともに、事業者の皆さまに対する支援を迅速かつ適切に実施できる態勢を構築するため、投資有価証券の含み益を有効活用すべく、今般、満期保有目的の債券を「その他有価証券」へ区分変更し、その一部を売却することといたしました。
2020 年3 月16 日より取扱いを始めた『新型コロナウイルス対策緊急つなぎファンド(通称COVID-19 きらぼしファンド)』において、中小企業等の皆さまへの融資対応が十分に行われるよう、当該売却益を原資として十分な貸倒引当金を確保します。本ファンド総額は1,500 億円規模とし、円滑な資金供給の確立に努めてまいります。

 

(3)業績予想に与える影響は軽微である旨を開示(当該パターン多い)

 

① 株式会社ラクーンホールディングス(2020年3月23日)


この度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患された皆様及び感染拡大により困難な生活環境におられる皆様に、心よりお見舞い申し上げます。当社グループにおける新型コロナウイルス感染症の影響につきまして、本日時点での状況を下記のとおりお知らせいたします。

2.業績予想に与える影響
本件が当社グループの連結業績に与える影響につきましては軽微なものと考えております。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、今後、企業の倒産件数が増加するのではないかという潮流から、当社グループの売掛保証サービスの需要が増加しております。一方で、当社グループの売掛保証サービスは、中小企業や個人事業主などの小規模事業者も対象とした独自の与信ノウハウを強みとしており、これまでも、景気のマイナス局面においても保証引受審査を慎重に行い適切な水準を保つようコントロールしてまいりました。従いまして、今後も、保険の活用によるリスクヘッジしながら、強みである与信ノウハウによる保証引受審査により保証履行の発生率を適切にコントロールしてまいります。今後、開示の必要性が生じた場合には、速やかに公表いたします。

 

 

以上

 

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