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【コロナ関連】IASB、新型コロナウィルスの不確実性を考慮したIFRS第9号「金融商品」の適用に関する文書を公表

プライムジャパン・コンサルティング
会計情報リサーチ

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国際会計基準審議会(IASB)は、2020年3月27日、新型コロナウイルス感染症(covid-19)の拡大に伴い、世界的な経済の不確実性が高まっている状況を受けて、IFRS第9号「金融商品」の適用に関する文書を公表しました。

 

本文書は、covid-19の拡大が予想信用損失(ECL)の会計処理にどのような影響を与えるかを検討するにあたって、関連するIFRS第9号の要求事項のポイントを再確認し、健全で一貫性ある基準適用を支援する目的で作成された教育文書です。したがって、本文書は、IFRS第9号の要求事項を変更、追加または削除するものではありません。

 

 

概要

 

 

  • IFRS第9号は、認識すべき予想信用損失(ECL)を算定するための枠組みを定めているが、信用リスクの著しい増大(SICR)が発生した場合には、全期間のECLを認識することを要求している。しかし、全期間の信用損失の認識が必要とされる時期を決定するための明確な線引きや機械的なアプローチを定めているわけではない。

 

  • IFRS 第 9 号は、一定の判断に基づいて、異なる状況下での ECL の決定方法を調整することを要求しており、またそれが可能である。現在の環境下では、従来の ECL算定の基礎となっていた多くの前提条件は、もはや通用しないかもしれないし、また既存の 算定方法を機械的に適用し続けるべきではない。

 

  • IFRS 第 9 号では、SICR を評価するために、金融商品の予想存続期間にわたってデフォルトが発生するリスクの変化を評価することを要求している。SICRの評価およびECLの測定においては、過度のコストや労力なしに企業が入手可能な合理的で裏付け可能な情報に基づき、過去、現在および将来予測について、利用可能な最善の情報に基づいて見積りをすることが求められている。予測条件を評価する際には、covid-19拡大による影響と政府が実施している重要な支援策の両方を考慮しなければならない。

 

  • covid-19による影響や政府の支援策の具体的な効果を合理的かつ客観的な根拠に基づいて組み入れることは現時点では難しいと思われる。しかし、経済状況の変化は、企業が適用するマクロ経済シナリオやその重み付けに反映されるべきである。環境は急速な変化にさらされており、新しい情報が入手可能になった場合には、更新された事実や状況を継続的にモニタリングすべきである。

 

  • 現在の状況は困難であり、大きな不確実性を生み出しているが、ECL の見積りが合理的で裏付けのある情報に基づいており、IFRS 第 9 号が機械的に適用されていなければ、現在のストレスの多い環境下においても、財務諸表の利用者に有用かつ透明性のある情報を提供することは可能である。

 

以上

 

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代表取締役社長 菊川 真