金融庁は、2019年12月27日、「金融審議会市場ワーキング・グループ」に設置された市場構造専門グループの報告書 - 令和時代における企業と投資家のための新たな市場に向けて (以下、「本報告書」という)を公表しました。
本報告書は、我が国の市場構造の在り方に関する検討結果をとりまとめたものです。本報告書の公表を受けて、株式会社日本取引所グループからも、今後の取組みに関するコメントがリリースされています。
【本報告書のポイント】
我が国における証券市場について、本報告書では、以下のような課題があることが指摘されています。
- 東京証券取引所に5つある各市場区分のコンセプトが曖昧。
- 上場廃止に関する基準が低いこと等により、上場企業の持続的な企業価値向上に向けた動機付けに乏しい。
- TOPIXが市場第一部の全ての銘柄で構成されているため、投資対象としての機能性に欠けており、投資対象としての機能性と市場代表性を兼ね備えた指数が存在していない。
金融審議会市場ワーキング・グループでは、こうした課題を踏まえ、市場構造の見直しに関する検討結果を取りまとめました。主な提言内容は以下のとおりです。
- 明確なコンセプトに基づいた制度に再設計を行うよう、「プライム市場」・「スタンダード市場」・「クローズ市場」(いずれも仮称)の3つの市場区分に再編することが適当である。なお、既存の上場企業はそれぞれの市場のコンセプトに照らし、適切と考える市場区分を主体的に選択できるようにする。
- 求められる役割が異なってきていることから、市場区分とTOPIXの範囲を切り離すことが適当である。その際、流動性をより重視する方向で企業を選択する。
- 現在、市場第二部から上場廃止になる時価総額は10 億円、マザーズ市場から上場廃止になる時価総額は5 億円となっているが、上場後の企業価値向上の動機付けのため、これらの退出基準を引き上げるとともに、受け皿市場の整備を合わせて検討する。
- 市場構造の見直しに関しては、速やかに実施することが望まれる。具体的には、2022年上半期を目途として市場区分やTOPIXの変更を開始することが想定される。
詳細は金融庁ウェブサイトをご参照ください。
以上
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