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金融庁は、2019年12月12日、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等(以下、「本公開草案」とすいう)を公表しました。
本公開草案は、2019年7月4日、企業会計基準委員会(ASBJ)が、企業会計基準第30号「時価の算定に関する会計基準」等を公表したことを受け、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等について、金融商品等の時価のレベル別開示の導入など所要の改正を提案しています。
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ASBJは、2019年7月4日、企業会計基準第30号「時価の算定に関する会計基準」等を公表しました。これらは、日本基準を国際的に整合性のあるものとするための取組みに関する検討課題の一つとして取り上げられていた時価に関するガイダンスおよび開示についての検討に基づき公表されたものです。
本公開草案は、「時価の算定に関する会計基準」等の公表を受け、以下の財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等について、金融商品等の時価のレベル別インプット等の開示など所要の改正を提案しています。
「市場参加者」「時価の算定に係るインプット」「観察可能な時価の算定に係るインプット」「観察できない時価の算定に係るインプット」「時価の算定に係るインプットが属するレベル」の用語が定義されています(財務諸表等規則第8条第64項~第68項、連結財務諸表規則第2条第56号~第60号)。
1.金融商品の時価に関する事項
金融商品の時価に関する事項(金融商品の貸借対照表計上額および時価など)は従来から開示が求められていましたが、市場価格のない株式、出資金その他これらに準ずる金融商品については、金融商品の時価に関する事項の記載は要しないことになります。この場合には、その旨ならびに当該金融商品の概要および貸借対照表計上額を注記しなければなりません(財務諸表等規則第8条の6の2第2項、連結財務諸表規則第15条の5の2第2項)。
また、現金および短期間で決済されるため時価が帳簿価額に近似する金融商品については、時価注記を省略することができる旨が追加されています(財務諸表等規則ガイドライン8の6の2‐1‐2(5)、連結財務諸表規則ガイドライン15の5の2)。
2.金融商品の時価のレベル別開示
金融資産の時価について、レベル別に区分して開示することが求められています(財務諸表等規則第8条の6の2第1項第3号、連結財務諸表規則第15条の5の2第1項第3号)。ただし、重要性の乏しいものについては、注記を省略することができます(財務諸表等規則第8条の6の2第1項ただし書き、連結財務諸表規則第15条の5の2第1項ただし書き)。また、金融商品の時価に関する注記を要しない金融商品については、レベル別開示も不要となります。
時価で貸借対照表に計上している金融商品およびそれ以外で時価を注記している金融商品
(1)適切に区分した項目ごとの、レベルごと(レベル1、レベル2、レベル3)の時価の合計額
時価で貸借対照表に計上している金融商品およびそれ以外で時価を注記している金融商品のうち、レベル2またはレベル3に分類された金融商品
(2)時価の算定に用いた評価技法および時価の算定に係るインプットの説明
(3)時価の算定に用いる評価技法またはその適用を変更した場合には、その旨およびその理由
時価で貸借対照表に計上している金融商品のうち、レベル3に分類された金融商品
(4)時価の算定に用いた重要な観察できない時価の算定に係るインプットに関する定量的情報
(5)当該金融商品の期首残高から期末残高への調整表
(6)レベル3に分類された金融商品の時価についての評価の過程に関する説明
(7)時価の算定に用いた重要な観察できない時価の算定に係るインプットの変化によって貸借対照表日における時価が著しく変動する場合における当該時価に対する影響に関する説明
(8)時価の算定に用いた重要な観察できない時価の算定に係るインプットと他の重要な観察できない時価の算定に係るインプットとの間に相関関係がある場合には、当該相関関係の内容および時価に対する影響に関する説明
市場価格の変動により利益を得る目的をもって所有する棚卸資産については、金融商品に準じた時価のレベル別開示が求められます(財務諸表等規則第8条の33、連結財務諸表規則第15条の27)。
有価証券の評価方法に関して、その他有価証券の時価評価を行うに際しての時価の算定方法(期末日の市場価格に基づいて算定された価額または期末前1ヶ月の市場価格の平均に基づいて算定された価額)が例示から削除されています(財務諸表等規則ガイドライン8の2‐1(2)②、連結財務諸表規則ガイドライン13‐5、中間財務諸表規則ガイドライン4、中間連結財務諸表規則ガイドライン10‐5)。
また、特定の市場リスクまたは特定の信用リスクに関して金融資産および金融負債を相殺した後の正味の資産または負債を基礎として、当該金融資産および金融負債のグループを単位とした時価を算定する場合には、重要な会計方針の注記においてその旨を記載することが求められています(財務諸表等規則ガイドライン8の2‐10、連結財務諸表規則ガイドライン13‐5、中間財務諸表規則ガイドライン4、中間連結財務諸表規則ガイドライン10‐5)。
以上
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