国際会計基準審議会(IASB)は、2018年3月27日、IAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」に関する狭い範囲の修正案「会計方針の変更」(以下、「本修正案」という)を公表しました。
本修正案では、IFRS解釈指針委員会が公表したアジェンダ決定から生じる会計方針の任意の変更を容易にするための修正案が提案されています。
コメント期限:2018年7月27日
背景
IAS第8号では、会計方針の変更は、①IFRS基準における新たな要求事項による場合、または、②財務諸表に及ぼす影響についてより目的適合性の高い情報を財務諸表利用者に提供する場合のいずれかに限り認められることとしています。
また、企業が会計方針を変更する際は、実務上不可能である場合を除いて、新しい会計方針を遡及適用することが求められています。
しかし、実際には、新しい会計方針の適用に伴うコストとベネフィットを考慮して、遡及適用を免除する経過措置が設けられることが少なくありません。
一方で、企業は、IFRS解釈指針委員会が公表したアジェンダ決定に伴い会計方針を変更する場合があります。
アジェンダ決定は、IFRS解釈指針委員会が適用上の質問を検討した上で、IFRS基準の要求事項を修正・追加する必要はないと結論付けた経緯を説明するもので、IFRS基準の適用において重要な示唆が含まれています。
ただし、強制力はないことから、アジェンダ決定に伴う会計方針の変更は任意の変更となり、実務上不可能な場合を除き、遡及適用が原則となります。
そこで、本修正案では、アジェンダ決定による会計方針の任意の変更を容易にするため、一定の要件を満たす場合には、遡及適用の対象外とすることを認める提案をしています。
修正案の主な内容
本修正案では、会計方針の変更がアジェンダ決定により生じる場合、遡及適用による変更期間への影響または累積的影響を算定するために企業に発生するコスト、および新しい会計方針を遡及適用することによる財務諸表利用者に対するベネフィットを考慮し、当該コストがベネフィットを上回る範囲において、遡及適用の対象外とすることを提案しています(IAS第8号第23項)。
また、上記コストとベネフィットの評価に関するガイダンスを追加することが提案されています(IAS第8号Appendix A A6-A10)。
以上
外部リンク:
International Accounting Standards Board seeks comments on proposed amendments to IAS 8
IASBがIAS第8号の修正案へのコメントを募集