金融庁は、2018年3月23日、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」等(以下、「本改正」という)を公表しました。
本改正は、2018年2月、企業会計基準委員会(ASBJ)より公表された企業会計基準第28号「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」等(以下、「税効果会計基準一部改正」という)を受けて、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等(以下、「財務諸表等規則等」という)について所要の改正を行うものです。
【改正内容】
税効果会計基準一部改正を踏まえて、財務諸表等規則等が次のとおり改正されています。
(1)繰延税金資産および繰延税金負債の表示の変更
従来、繰延税金資産および繰延税金負債は、貸借対照表上、関連する資産・負債の分類に基づいて、流動項目・固定項目に区分して表示することとされていましたが、税効果会計基準一部改正により、繰延税金資産は投資その他の資産の区分、繰延税金負債は固定負債の区分に表示することになります。
税効果会計基準一部改正
| 改正前
|
---|
【繰延税金資産】 投資その他の資産
【繰延税金負債】 固定負債
| 【繰延税金資産】 関連した資産・負債の分類に基づいて流動資産または投資その他の資産に区分
【繰延税金負債】 関連した資産・負債の分類に基づいて流動負債または固定負債に区分 |
(2)注記事項の追加
税効果会計基準一部改正により、注記事項として、評価性引当額の内訳に関する情報および税務上の繰越欠損金に関する情報を追加して開示することが求められます。
なお、評価性引当額の内訳に関する数値情報以外の注記事項については、連結財務諸表を作成している場合、個別財務諸表での記載は不要となります。
評価性引当額の内訳
| 税務上の繰越欠損金
|
---|
【数値情報】 延税金資産の発生原因別の主な内訳の注記にあたって、税務上の繰越欠損金の額が重要であるときは、評価性引当額の合計を、「税務上の繰越欠損金に係る評価性引当額」と「将来減算一時差異等の合計に係る評価性引当額」に区分して記載する。
| 【数値情報】 税務上の繰越欠損金の額が重要であるときは、繰越期限別に以下の数値を記載する。- 税務上の繰越欠損金に税率を乗じた額
- 税務上の繰越欠損金に係る評価性引当額
- 税務上の繰越欠損金に係る繰延税金資産の額
(連結財務諸表を作成している場合には、個別財務諸表での記載は不要)
|
【定性的な情報】 評価性引当額に重要な変動が生じている場合には、主な変動の内容を記載する。
(連結財務諸表を作成している場合には、個別財務諸表での記載は不要)
| 【定性的な情報】 税務上の繰越欠損金に係る重要な繰延税金資産を計上している場合、当該繰延税金資産を回収可能と判断した主な理由を記載する。
(連結財務諸表を作成している場合には、個別財務諸表での記載は不要) |
【適用日】
本改正は、2018年3月23日付で公布・施行され、改正後の財務諸表等規則等は、税効果会計基準一部改正の適用日と合わせて、2018年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首から適用されます。
ただし、2018年3月31日以後最初に終了する連結会計年度および事業年度の年度末に係る連結財務諸表および個別財務諸表から適用することができます。
以上
関連リンク:
ASBJ、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」等を公表
外部リンク:
「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等に対するパブリックコメントの結果等について