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企業会計基準委員会(ASBJ)は、2017年12月6日、実務対応報告公開草案第53号「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い(案)」(以下、「本公開草案」という)を公表しました。本公開草案は、資金決済法に規定する仮想通貨の会計処理および開示に関する当面の取扱いとして、実務上の取扱いを明らかにすることを目的として公表されています。
コメント募集期限:2018年2月6日
2016年に公布された「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律」(平成28 年法律第62 号)により、「資金決済に関する法律」(平成21 年法律第59 号。以下「資金決済法」という。)が改正され、仮想通貨が定義された上で、仮想通貨交換業者に対して登録制が導入されました。また、仮想通貨交換業者に対しては、2017年4月1日の属する事業年度の翌事業年度より、監査法人等による財務諸表監査が義務付けられています(資金決済法第63 条の14 第3 項)。
こうした中で、ASBJでは、仮想通貨交換業者に対する財務諸表監査制度の円滑な運用の観点および仮想通貨に係る会計処理が明確にされない場合には多様な会計実務が形成される可能性がある点を踏まえ、仮想通貨に係る会計上の取扱いに関する審議を行ってきました。なお、仮想通貨に関連するビジネスは初期段階にあり、現時点では今後の進展を予測することは難しいこと、加えて仮想通貨の私法上の位置づけが明らかではないことから、本公開草案においては、当面必要と考えられる最小限の項目に関する会計上の取扱いのみを定めているとされています
(1)範 囲
本公開草案は、資金決済法に規定するすべての仮想通貨を対象とすることを提案しています(本公開草案第3 項)。
【仮想通貨の定義】
資金決済法上、仮想通貨は次のように定義されています(資金決済法第2条第5項第1号および第2号)。
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つまり、仮想通貨とは、①不特定の者を相手方として代金の支払いおよび購入・売却等ができる財産的価値を有するものであって、②電子的に記録されて移転可能であり、かつ③法定通貨または通貨建て資産ではないものとされています。
これに関連して、いわゆる前払式支払手段発行者が発行する「プリペイドカード」やポイント・サービスにおける「ポイント」は、特定の発行者が存在し、当該発行者が認めた範囲でのみ利用可能であること等から、資金決済法上の仮想通貨には該当しないとされています(金融庁:仮想通貨交換業者関係(事務ガイドライン第三分冊:金融会社関16))。
(2)会計処理
本公開草案では、仮想通貨交換業者または仮想通貨利用者が保有する仮想通貨および仮想通貨交換業者が預託者から預かった仮想通貨の会計処理について、主に以下の提案がなされています。
① 仮想通貨交換業者または仮想通貨利用者が保有する仮想通貨の会計処理(本公開草案第5 項から第13 項)
項目 | 会計処理案 |
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期末における仮想通貨の評価 |
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活発な市場の判断規準 |
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活発な市場が存在する仮想通貨の市場価格 |
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仮想通貨の取引に係る活発な市場の判断の変更時の取扱い |
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仮想通貨の売却損益の認識時点 |
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② 仮想通貨交換業者が預託者から預かった仮想通貨の会計処理(本公開草案第14 項から第15 項)
項目 | 会計処理案 |
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預託者から預かった仮想通貨に係る資産・負債の認識 |
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期末の資産の評価および負債の貸借対照表価額 |
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(3)開 示(本公開草案第16 項から第17項)
本公開草案では、仮想通貨交換業者または仮想通貨利用者が保有する仮想通貨の開示について、主に以下の提案がなされています。
項目 | 開示案 |
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表示 |
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注記事項 |
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(4)適用時期(本公開草案第18 項)
本公開草案は、2018年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用することを提案しています。ただし、公表日以後終了する事業年度および四半期会計期間から適用することができることも提案しています。
以上