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ASBJ、「実務対応報告第34号の適用時期に関する当面の取扱い(案)」を公表

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企業会計基準委員会(ASBJ)は、2017年12月7日、実務対応報告公開草案第54号「実務対応報告第34号の適用時期に関する当面の取扱い(案)」(以下、「本公開草案」という)を公表しました。


本公開草案では、2017年3月に公表されていた実務対応報告第34号「債券の利回りがマイナスとなる場合の退職給付債務等の計算における割引率に関する当面の取扱い」(以下、「実務対応報告第34号」という)において定められていた取扱いを当面の間、適用することが提案されています。



【本公開草案の内容】


実務対応報告第34号では、割引率の基礎とする安全性の高い債券の支払見込期間における利回りがマイナスとなる場合の割引率に関して、利回りの下限としてゼロを利用する方法とマイナスの利回りをそのまま利用する方法のいずれかによることを当面の取扱いとして定めています(実務対応報告第34号第2項)。また、当面の取扱いは、2017年3月31日に終了する事業年度から2018年3月30日に終了する事業年度までの1年間に限って適用することとされています(実務対応報告第34号第3項)。


この当面の取扱いに関する適用時期については、引き続き検討を行うこととされていたことから、ASBJにおいて審議が行われてきました。審議の結果、本公開草案では、当面の取扱いに関する適用時期について、以下のとおり提案しています(本公開草案第2項)。


変更後変更前
2017年3 月31 日に終了する事業年度から、実務対応報告第34号第2項に定めるいずれの方法によっても退職給付債務の計算に重要な影響を及ぼさず、当該取扱いを変更する必要がないとASBJが認める当面の間、適用する。2017年3月31日に終了する事業年度から2018年3月30日に終了する事業年度まで適用する。

〔審議の内容〕
ASBJでは、以下の状況を踏まえ、今後、マイナス金利を巡る環境に大きな変化が生じ、現状の金利水準が大幅に低下する等の大きな変化が生じる状況にない間は、実務対応報告第34 号第2 項に定める取扱いを、当面の取扱いとして適用することとしています。


① 退職給付債務の額は、「退職給付見込額のうち、期末までに発生していると認められる額」を超えることもあり得るとする考え方と超えるべきではないとする考え方の2 つの考え方が採り得るものの、いずれの考え方が適当であるかを一義的に見出すことは困難であると考えられる。② 現時点では、日本銀行により10 年物国債金利をゼロ%程度で推移させる政策が採られているため、実務対応報告第34 号第2 項に定めるいずれの方法を採用しても退職給付債務の計算に重要な影響を及ぼさないと考えられる。


なお、本公開草案の公表の決議にあたっては、出席委員のうち1名が反対しています。本公開草案の公表に反対した委員の意見は、「「実務対応報告第34号の適用時期に関する当面の取扱い(案)」の公表」に記載されています。



【適用時期】


公表日以後、適用することが提案されています(本公開草案第3項)。


以上



関連リンク:
ASBJ、「債券の利回りがマイナスとなる場合の退職給付債務等の計算における割引率に関する当面の取扱い」の公表


外部リンク:
?ASBJ「実務対応報告第34号の適用時期に関する当面の取扱い(案)」の公表