企業会計基準委員会(ASBJ)は、2016年10月3日、リサーチ・ペーパー第2号「のれん及び減損に関する定量的調査」(以下、「本リサーチ・ペーパー」という)を公表しました。本リサーチ・ペーパーは、のれんの会計処理に関する国際的な議論に貢献するため、国際会計基準審議会(IASB)の依頼を受け、ASBJスタッフが欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)スタッフと協力して調査を行ったものです。
【概要】
- 調査対象
2005年~2014年の期間における米国・欧州・日本・豪州の主要な株価指数を構成する会社1,280社のうち、一定の会社を除く1,069社を対象としている。
- 取集したデータ
- のれん
- のれんの減損(償却を含む)
- 純資産
- 時価総額
- 調査結果の概要
- すべての株価指数について、のれんの合計額と1社当たりののれんの金額は増加している。またいずれの金額も米国・欧州が日本・豪州を上回っている。
- 米国と欧州の株価指数については、純資産に対するのれんの割合(米国平均33%、欧州平均31%)および時価総額に対するのれんの割合(米国平均15%、欧州平均19%)が一貫して高い割合を示していた。
- 2014年の株価指数を構成する会社を調査した結果、のれんの金額が純資産の50%を超えていた会社は、米国の株価指数を構成する会社の32%、欧州の株価指数を構成する会社の25%であった。さらに、米国の株価指数を構成する14%の会社、欧州の株価指数を構成する11%の会社において、のれんの金額が純資産の100%を超えていた。
- のれんの減損と株価指数の相関を分析した結果、明確な時間差は観察されなかった。
- 前年末ののれんの金額を当期ののれんの費用化額(すなわち、減損または償却のいずれかによる)で除すると、米国82年、欧州37年、日本9年、豪州34年となった。
以上
外部リンク:
ASBJ リサーチ・ペーパー第2号「のれん及び減損に関する定量的調査」の公表