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SSBJ、2025年9月SSBJハンドブックを公表

プライムジャパン・コンサルティング
会計情報リサーチ

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サステナビリティ基準委員会(SSBJ)は、2025年9月30日、 2025年9月SSBJハンドブックを公表しました。

 

 

経緯

 

SSBJは、2025年3月5日、サステナビリティ開示基準(以下、「SSBJ基準」という)を公表しました。また、SSBJ基準公表後においては、SSBJ基準を利用する際の便宜を考慮して、2025年3月から2025年8月までSSBJハンドブックを毎月公表していました。

 

今般のSSBJハンドブックは、随時更新が予定されていたSSBJ基準の解説資料として、2025年8月分までのSSBJハンドブックへの追加として公表されたものです。

 

 

 

概要

 

SSBJハンドブックは、SSBJ事務局が作成し、SSBJの審議を経ずに公表された解説資料です。SSBJ基準を構成しないため、SSBJハンドブックの内容に従わない場合でも、SSBJ基準に準拠している旨を表明することができます。

 

SSBJハンドブックに含まれる論点は、これまでSSBJに多くの質問が寄せられたものなど、関係者のニーズが高いものから、SSBJ事務局のリソース等を考慮して決定され、実務の進展等により随時更新が予定されています。

 

2025年9月に公表されたSSBJハンドブックの内容は、次のとおりです。

 

 

法令により開示が禁止されている事項がある場合

 

SSBJ基準に基づき開示が要求されている情報が、企業が活動する法域の法令により開示禁止とされている場合の開示免除規定について、設例を用いて解説しています。

 

 

誤謬が発生した際の対応

 

重要性がある過去の報告期間の誤謬が発生した場合に参考となる以下の情報を説明しています。

 

  • 開示された過去の報告期間の比較対象の数値を修正再表示により訂正することが求められること
  • 例外として、法令において比較数値の修正再表示による過去の誤謬の解消ができない場合は、修正再表示を行わず当該法令に基づく取扱い(例えば、金融商品取引法上の訂正報告書等)に従うこと
  • 有価証券報告書の訂正報告書を用いた開示例

 

 

リスクを識別するためにシナリオ分析を用いている場合の開示

 

シナリオ分析に関する情報開示(どのようにシナリオ分析を用いたかの開示)について、一般的な開示例を用いて解説しています。

 

 

排出係数が報告期間の末日後に更新された場合

 

報告期間の末日後、サステナビリティ関連財務開示の公表承認日までの期間に排出係数が更新された場合には、利用者の意思決定に影響を与えるほどの重要性があるかどうかを評価し、関連する開示の更新の要否を検討することを示しています。

 

 

スコープ1温室効果ガス排出及びスコープ2温室効果ガス排出の測定に温対法を用いる場合のスコープ3温室効果ガス排出の測定

 

スコープ1およびスコープ2の温室効果ガス排出測定に温対法を用いる場合であっても、スコープ3温室効果ガス排出の開示が免除されるわけではないことを解説しています。

 

また、スコープ3温室効果ガス排出の測定については、SSBJ基準の定めに反しない範囲で「GHGプロトコル(2004年)」に基づいて実施することを説明しています(この場合、環境省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(ver.2.7)」を参考にすることが示されている)。

 

 

サプライヤー企業等が温対法に基づき温室効果ガス排出測定をしている場合の報告企業のスコープ3温室効果ガス排出の測定

 

報告企業のスコープ3温室効果ガス排出の算定にあたり、サプライヤー企業(カテゴリー1)や投融資先企業(カテゴリー15)等の温対法による算定データを利用することについては、SSBJ基準に明確な定めはないものの、容認されるとしています。

 

 

温室効果ガス排出目標の開示

 

企業が、温室効果ガス排出目標を含む、気候関連の目標を設定している場合に、当該目標に関する情報の開示が必要となりますが、企業が目標を設定していない場合に新たに目標を設定し、開示する必要はないとしています。

 

開示する温室効果ガス排出目標が総量(グロス)目標なのか純量(ネット)目標なのか明確にする必要があること、および、温室効果ガス排出目標として純量(ネット)目標を開示する場合の考慮事項を解説しています。

 

以上