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金融庁は、2023年12月22日、「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正を公表しました(以下「本改正」という)。
2022年6月に公表された「金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告」において、個別分野における「重要な契約」について、開示すべき契約の類型や求められる開示内容を具体的に明らかにすることで、適切な開示を促すことが考えられるとの提言を踏まえ、本改正では、以下の開示府令等の改正が行われています。
本改正により、有価証券報告書の開示項目である「経営上の重要な契約等」が「重要な契約等」に変更されるとともに、重要な契約について新たに以下の開示が求められることになります。
※1:「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)に対するパブリックコメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方」(以下、「パブリックコメントに対する金融庁の考え方」という)No.21、No.22
※2:パブリックコメントに対する金融庁の考え方 No.23
※3:パブリックコメントに対する金融庁の考え方 No.13
有価証券報告書等の提出会社(提出会社が持株会社の場合には、その子会社を含む)が、提出会社の株主との間で、以下のガバナンスに影響を及ぼし得る合意を含む契約(重要性の乏しいものを除く)を締結している場合、当該契約の概要や合意の目的及びガバナンスへの影響等の開示を求めることとされています(開示府令第二号様式(記載上の注意)(33)f本文)。
有価証券報告書等の提出会社が、提出会社の株主(大量保有報告書を提出した株主その他の重要な株主)との間で、以下の株主保有株式の処分等に関する合意を含む契約(重要性の乏しいものを除く)を締結している場合、当該契約の概要や合意の目的等の開示を求めることとされています(開示府令第二号様式(記載上の注意)(33)g本文)。
有価証券報告書等の提出会社が、提出会社の株主(大量保有報告書を提出した株主その他の重要な株主)との間で、以下の株主保有株式の処分等に関する合意を含む契約(重要性の乏しいものを除く)を締結している場合、当該契約の概要や合意の目的等の開示を求めることとされています(開示府令第二号様式(記載上の注意)(33)g本文)。
有価証券報告書等の提出会社が、財務上の特約その他当該提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性のある特約が付されたローン契約の締結又は社債の発行をしている場合であって、その残高が連結純資産額の10%以上である場合(同種の契約・社債はその負債の額を合算する)、当該契約または社債の概要及び財務上の特約の内容の開示を求めることとされています(開示府令第二号様式(記載上の注意)(33)h本文)。
ここで、開示の対象となる「財務上の特約」とは、当該提出会社の財務指標があらかじめ定めた基準を維持することができないことを条件として当該提出会社が期限の利益を喪失する旨の特約のことをいうとされており、開示の対象となる「財務上の特約」が付された金銭消費貸借契約や社債について、純資産額に占める割合が10%以上のものを対象とすることとされています(パブリックコメントに対する金融庁の考え方 No.58、No.72)。
なお、このときの金銭消費貸借契約や社債は、同種の特約が付された金銭消費貸借契約や社債を合算した残高となります。また、「重要な影響を及ぼす可能性のある特約」とは、基準となる指標や抵触の際の効果、特約に定める事由が発生する蓋然性等を踏まえ、財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があるものを指すとされています(パブリックコメントに対する金融庁の考え方 No.64、No.65)。
2024年4月1日から施行され、2025年3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書等から適用されます。
ただし、施行日前に締結された契約については、2026年3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書等から記載が求められることになりますが、それまでは記載を省略することができるとする経過措置が設けられています。
以上