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平成28年度税制改正では、「役員給与の損金不算入制度」の一部見直しとして、業務執行役員に対して支給する利益連動給与(利益に関する指標を基礎として算定される給与で一定の要件を満たすもの)(法人税法第34条1項3号)の算定指標の範囲が拡充されている。
従来は、営業利益や経常利益、当期純利益など利益に関する指標を基礎として算定したものに限るとされていたが、今般の改正ではROE(自己資本利益率)やROA(総資産利益率)、EBITDAなどが算定指標の範囲として追加されている(法人税法第34条1項3号イ、法人税法施行令第69条8項)。日本再興戦略改訂2015においてコーポレートガバナンス強化の一環として業績連動報酬の活用促進が盛り込まれたことを踏まえた措置である。平成28年度4月1日以後開始する事業年度から適用される。
なお、その他の要件は従来通りであるため、算定指標が「有価証券報告書に記載されるものに限る」ことや支給額が「確定額を限度としている」こと、また算定方法が「他の業務執行役員に対して支給する利益連動給与の算定方法と同様のものである※1」ことなどは変わっていない。
※1.すべての業務執行役員に対する算定方法が同一であることを要求するものではなく、合理的である限り、役員の職務内容等に応じて異なる指標(営業部門担当役員については営業利益を指標とし、財務部門担当役員についてはROEを指標とする等)を用いることを妨げるものではないと解されている。
図表1 「利益連動給与」の算定指標
法人税施行令第69条8項 | 具体例 | |
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1号 | 利益の額 |
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2号 | 1号の利益+減価償却費・支払利息等の費用 -受取利息等の収益 |
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3号 | 1号または2号![]() 収益(売上高等)または費用(支払利息等) |
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1号または2号![]() 総資産の帳簿価額 |
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1号または2号![]() 純資産(総資産-総負債)の帳簿価額 |
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1号または2号![]() 発行済株式総数 |
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4号 | 1号~3号の数値と前事業年度の数値、 目標とする数値との差分や比率 |
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5号 | 1号~4号の指標に準ずる指標 |
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注:1号の利益の額、2号および3号の収益・費用の額、3号の発行株式総数は有価証券報告書に記載されるべき金額または数とする。
以上
外部リンク:
・法人税法:財務省 所得税法等の一部を改正する法律案新旧対照表
・法人税法施行令:財務省 平成28年度税制改正 政令