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麻生財務大臣は、4月8日閣議後記者会見において、アルゴリズムを用いたHFT(高頻度取引)の証券市場へ及ぼす影響、ブロックチェーン技術を始めとするFinTechの進展への対応など、今後の日本の市場・取引所を巡る諸問題を金融審議会において協議することを明らかにした。
HFT(高頻度取引)はHigh Frequency Tradeの略称で、金融市場に関する情報と一定のアルゴリズムに基づいてミリ秒(1/1000秒)単位で売買を繰り返す超高速売買のことを指す。当初は米国市場で活用され始め、日本でも2010年に東証が新株式取引システム「アローヘッド」を稼働したことによりHFTの利用が可能となった。証券市場におけるHFT比率は、東証ワーキングペーパーによると、米国市場で約50%(2012年当時)、日本市場においては売買代金ベースで約25%(2013年5月時点)とされている。
ブロックチェーンは暗号化技術とP2Pネットワークを活用したデータベース技術のことで、取引記録を格納するブロックが10分毎に作成され連鎖的に接続されていくのでブロックチェーンと言われる。仮想通貨ビットコインを支える中核技術として注目され、データの改ざんがほぼ不可能と言われている。最近では証券売買管理システム、不動産登記・閲覧システム、契約管理システムなどへの応用が研究されている。日本取引所においてもブロックチェーン技術に関する実証実験が開始されている。
以下、金融庁プレスリリースよりの引用
4月8日(金)閣議後大臣記者会見冒頭発言 今後の日本の市場・取引所を巡る諸問題に係る検討について述べさせて頂きます。 日本の証券市場・取引所では、1990年代末以降、投資商品の多様化や取引システムの高度化などに向けた取組みが進められてきました。 このような中、例えば近年、アルゴリズムを用いた高速な取引が大幅に増加し、 ・ 昨今の相場急変動の要因の一つとなっているのではないか、 ・ 中長期的な企業の収益性に着眼した株価形成が阻害されるのではないか、 といった指摘もなされているところです。 こうした点を踏まえ、取引の高速化が市場の公正性・透明性・安定性などに及ぼす影響について、検討していくことが重要と考えます。 また、足元の金融環境を踏まえ、国民の安定的な資産形成に資するよう、グローバルな分散投資や資産運用の高度化を進めていくことが益々重要になってきています。その際、商品開発、販売、運用、資産管理それぞれに携わる全ての金融機関等において、フィデューシャリー・デューティー、すなわち顧客本位の業務運営の観点から、どのような取組みが求められるかについて、検討することも重要と考えます。 更に、ブロックチェーン技術など最近のFinTechの進展への対応は、証券取引などの分野においても重要な課題となっています。日本の競争力強化等の観点から、どのような対応が必要か、という点についても検討すべきと考えます。 今申し上げた点も含め、日本の市場・取引所を巡る諸問題について、幅広い観点からご議論いただくことが適当と判断し、4月中の出来るだけ早期に金融審議会総会を開催して、新たな諮問を行うこととしたいと考えています。 |
以上
外部リンク:
金融庁 今後の金融審議会における、日本の市場・取引所を巡る諸問題に係る検討についての大臣発言について
JPX ブロックチェーン技術に関する実証実験の開始について(2016/02/16)
JPX ブロックチェーン技術に関する実証実験の開始について(2016/04/07)