企業会計基準委員会(ASBJ)は2023年8月3日、「現在開発中の会計基準に関する今後の計画」の改訂(以下、「本改訂」という)を公表しました。
ASBJは、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準(以下、「日本基準」という)および修正国際基準(国際会計基準と企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)(以下、「修正国際基準」という)の開発に関する予見可能性を高めるため、開発中・開発予定の会計基準に関する今後の計画(以下、「本計画」という)を随時、公表、改訂しており、本改訂は、その最新版として更新されたものです。
本計画の前回(2023年6月20日公表)からの主な変更点は以下のとおりです。
【主な変更点】
日本基準
1.開発中の会計基準
- リースに関する会計基準
- 日本基準を国際的に整合性のあるものとする取組みの一環として、借手のすべてのリースについて資産および負債を認識するリースに関する会計基準の開発に着手することを決定している。合わせて、リースの貸手の収益認識に関する会計処理(リース業における割賦販売取引の会計処理を含む。)について検討を行っている。各論点について検討を行い、2023年5月に公開草案を公表済みである(コメント期限:2023年8月4日)。
- 金融商品に関する会計基準
- IFRS第9号の相対的アプローチを採用したモデル(ECLモデル)を開発の基礎として検討を進めており、IFRS第9号を適用した場合と同じ実務および結果となると認められる会計基準の開発を目的として審議を行っている。
- 金融資産および金融負債の分類および測定については、今後、会計基準の開発に着手するか否かについて判断する予定。また、分類及び測定と金融資産の減損の定めの関係については同時並行的に整理するものとしている。
- パーシャルスピンオフの会計処理
- 事業を分離・独立させる手段であるスピンオフに関して、スピンオフ実施会社に一部の持分を残すスピンオフの会計処理について検討を行っている。
- 四半期報告書制度の見直しへの対応
- 金融商品取引法上の四半期報告書制度の見直しへの対応として、四半期財務諸表に関する会計基準等の改正または修正について検討を開始予定としている。
2.開発中の指針(実務上の取扱いを含む)
- 金融商品取引法上の「電子記録移転権利」または資金決済法上の「暗号資産」に該当するICOトークンの発行・保有等に係る会計上の取扱い
- 2022年3月に、資金決済法上の「暗号資産」に該当するICOトークンの発行・保有等に係る会計上の取扱いについての論点整理を公表済み。現在、寄せられたコメントへの対応を検討中。
- 資金決済法上の「電子決済手段」の発行・保有等に係る会計上の取扱い
- 2023年5月に公開草案を公表済みである(コメント期限:2023年8月4日)。
- グローバル・ミニマム課税に関する改正法人税法への対応
- 企業会計基準第27号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」および企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」等の会計基準等の改正の要否について検討中である。
- 子会社株式および関連会社株式の減損とのれんの減損の関係
- 連結財務諸表におけるのれんの追加的な償却処理について、子会社株式および関連会社株式の減損とのれんの減損の関係を踏まえ検討中である。
3.その他の日本基準の開発に関する事項
- 日本公認会計士協会が公表した実務指針等の移管
- 日本公認会計士協会が公表した実務指針等をASBJに移管するアプローチ等に関して、2023年6月に意見募集を公表済みである(コメント期限:2023年8月25日)。
以上
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