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IASB、IFRS第16号におけるセール・アンド・リースバック取引に関する狭い範囲の修正を公表

プライムジャパン・コンサルティング
会計情報リサーチ

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国際会計基準審議会(IASB)は、2022年9月22日、国際財務報告基準(IFRS)第16号におけるリース負債について、セール・アンド・リースバック取引に関する要求事項に対する狭い範囲の修正(以下、「本修正」という)を公表しました。本修正は、企業がセール・アンド・リースバック取引後に、当該取引をどのように会計処理するかを説明するためのものです。

 

本修正により影響を受ける可能性がある取引は、リース料(の全部または一部)が指標またはレートに応じて決まるものではない変動リース料を含むセール・アンド・リースバック取引となります。

 

経緯

 

IFRS解釈指針委員会(IFRS-IC)は、2020年6月、セール・アンド・リースバック取引に係るアジェンダ決定を公表しました。

 

このアジェンダ決定は、セール・アンド・リースバック取引がIFRS第15号における「売却」の定義を満たし、そのリース料が指標またはレートに応じて決まるものではない変動リース料を含む場合に、売手である借手がリースバックから生じる使用権資産をどのように測定すべきか、また当該取引に係る利得または損失をどのように決定すべきかについて対応したものでした。しかしながら、アジェンダ決定では、リースバックから生じる使用権資産およびリース負債の当初測定に関するアプローチは定めていたものの、リース負債の事後測定については対応していませんでした。

 

本修正では、セール・アンド・リースバック取引から生じたリース負債の事後測定に係る新たな要求事項が追加されており、リースバック取引のリース料に指数やレートに基づかない変動リース料が含まれている場合には、これまでの会計処理の変更が必要になる可能性があります。

 

概要

 

リース負債は、リース負債に係る金利を反映するように帳簿価額を増額し、支払われたリース料を反映するように帳簿価額を減額します。本修正では、セール・アンド・リースバック取引の売手である借手は、リースバックに基づくリース負債の事後測定にあたり、売却資産のうち残存する使用権部分に係る利得または損失を認識しない方法でリース負債の減額を会計処理することが明記されています(IFRS16.102A)。

 

セール・アンド・リースバック取引では、売手である借手に使用権として残存する使用権資産に対応するリース負債が認識され、またその測定には指数やレートに基づかない変動リース料が含まれることになるため、セール・アンド・リースバック取引以外のリース負債と差額が生じる場合があります。本修正では、事後測定の具体的な算定方法は規定していませんが、新たに追加された設例(設例25)には2つのアプローチが例示されています。

 

設例では、売却資産のうち売手である借手が保持した使用権に係る部分の測定には、セール・アンド・リースバック取引以外の通常のリース負債の測定には反映しない項目(例えば、指数やレートに基づかない変動リース料)も考慮する必要があることが明確化されています。

 

適用日

 

本修正は、2024年1月1日以後開始する事業年度から、IFRS第16号の当初適用開始日に遡って適用されます。なお、早期適用も認められています。

 

以上

 

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