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コーポレートガバナンス・コード(以下、「CGコード」という)の適用が2015年6月1日から開始された。CGコードの適用状況は、コーポレート・ガバナンス報告書(以下、「CG報告書」という)に記載することになっている。CGコードは法令ではなく、あくまで原則であることから、必ずしもすべてを実施する必要はないが、「Comply or Explain」として、原則を実施する(Comply)か、実施しない場合にはその理由を説明する(Explain)ことが求められている。
CGコードの適用状況については、6月1日以後最初に開催する定時株主総会の日から6ヶ月を経過する日までに、CG報告書に記載して提出する必要がある。したがって例えば3月決算会社で、定時株主総会を6月末に開催した場合では、12月末まで提出期限が延長される経過措置が取られている。今回CG報告書の開示状況を調査した結果、適用開始後1ヶ月となる6月末までに50社が、現時点におけるCGコードの対応状況について、何らかの開示していることがわかった。
図表1 CGコードに関する開示項目
CGコードの中で実施しないものがある場合には、その理由を記載する。ただし、マザーズ・JASDAQ上場会社は、「基本原則」を実施しない場合のみ、その理由を説明する。 (2)CGコードの各原則に基づく開示 本則市場(市場第一部・第二部)の上場会社は、実施の有無にかかわらず、「政策保有株式」、「独立社外取締役の活用」など特定の11原則については、その取組状況等を開示することが求められている。 |
開示をした50社の内訳は、本則市場が31社、マザーズ・JASDAQが19社である。このうち、原則をすべて実施している旨の記載をした企業は35社、原則を実施しない理由や今後の対応を記載している企業は8社であった。なお、「各原則を実施しない理由」について、今回のCG報告書上では具体的な記載(検討中を含む)のない企業が7社(ただし、上記(2)「CGコードの各原則に基づく開示」は記載あり)あったが、これらについては、今後準備ができ次第、順次開示されていくと思われる。
図表2 市場別内訳と「Comply or Explain」の状況
Comply※1 | Explain※2 | 現状記載なし (検討中) | 社数 | |
---|---|---|---|---|
東証一部 | 16 | 8 | 7 | 31 |
東証二部 | 0 | 0 | 0 | 0 |
マザーズ | 2 | 0 | 0 | 2 |
JASDAQ | 17 | 0 | 0 | 17 |
合計 | 35 | 8 | 7 | 50 |
※1 各原則をすべて実施していると明記している企業
※2 実施していない原則とその理由を記載している企業
「各原則を実施しない理由」欄に「Explain」している企業8社の記載ぶりはさまざまである。該当する原則について実施しない旨とその理由を明確にしている場合のほか、「今後実施」「検討中」「今後の検討課題」等としている場合や、定時総会から「6か月後までの開示に向けた準備」を進めているとしている場合、さらには現時点では該当する原則のみを列挙し、開示内容について現在検討を進めている旨を記載しているケースもあった。今回「Explain」しているのが最も多かった原則は、原則4-11③(取締役会全体の実効性についての分析・評価とその結果の開示)、次いで原則4-8(独立社外取締役の有効活用)である。
図表3 「Explain」している原則
会社名 | 基本原則1 | 基本原則2 | 基本原則3 | 基本原則4 | 基本原則5 | 株主の権利・ 平等性の確保 | 株主以外の ステークホルダー との適切な協働 | 適切な情報開示と 透明性の確保 | 取締役会等の責務 | 株主との対話 |
---|---|---|---|---|---|
大東建託 | 原則1-4 | - | 原則3-2① | 原則4-11③ 原則4-12① | - |
亀田製菓 | 原則1-2④ | - | - | 原則4-4① 原則4-8① 原則4-8② | - |
新生銀行 | - | - | - | 原則4-11③ 原則4-14② | - |
エヌ・ティ・ティ・データ | - | - | 原則3-1 | 原則4-8 原則4-11① 原則4-11③ | - |
デンソー | - | - | - | 原則4-10① | - |
MS&ADインシュアランスグループホールディングス | - | - | - | 原則4-11③ | - |
スタートトゥデイ | - | - | 原則3-1③ | 原則4-8 原則4-9 原則4-11③ | - |
東京TYフィナンシャルグループ | - | - | - | 原則4-1① 原則4-11③ 原則4-14② | - |
今回調査した結果、CGコード73原則すべてについて、その取組み状況を開示している企業が3社存在した。
・ 大東建託:「コーポレートガバナンス・コードに関する当社の取り組み」
・ スタートトゥデイ:コーポレートガバナンス・コードに関する当社の取り組みについて」
・ オムロン:「オムロン コーポレート・ガバナンス ポリシー -持続的な企業価値の向上を目指して-」
このうちオムロンについては、自社独自のコーポレート・ガバナンスに関するポリシーとCGコード73原則との詳細な対応表を作成し、自社サイト上でも開示している。
本則市場31社のうち、開示が必須の11原則すべての取組みについて記載している企業は、今回16社であったが、残りの企業についても、今後6ヶ月間を通して随時開示されていくものと思われる。なお、現状開示を見送られていた原則のうち、目立った項目は以下の3原則である。
・補充原則4-11③【取締役会の実効性】(7社)
・原則4-8【独立社外取締役の有効な活用】(5社)
・補充原則4-14②【取締役・監査役のトレーニング】(5社)
※( )内は、該当する原則について記載していない企業の社数
以上