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【会計情報トピックス】ASBJ、収益認識基準の開発に向けた検討へ着手


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企業会計基準委員会(ASBJ)は、2015年3月6日および同月20日に開催された同委員会において収益認識基準の開発についての審議を行い、2014年5月に公表されたIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」(以下、「IFRS15号」という)を踏まえたわが国における収益認識基準の開発に向けた検討に着手することを決定した。


背景としては、①IFRS15号の適用対象となる取引が広範であり、企業の財務情報に重要な影響を与える可能性が高いこと、②国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)がコンバージェンスされた収益認識基準を公表している状況下、わが国には収益認識に関する包括的な会計基準が存在しないこと、さらに③わが国の収益認識基準の高品質化を求める声が多いことがある。委員会では、IFRS15号を踏まえたわが国における収益認識基準の開発の是非について、主に以下の4つの観点から検討が行われた。


  ① コンバージェンスを進めることによって期待される便益の大きさ  ② わが国の会計基準に係る基本的な考え方と大きく異ならないこと  ③ IFRSと米国会計基準との間でコンバージェンスが達成されていること  ④ コンバージェンスを進めることによる便益がコストを上回ること


検討の結果、新たに収益認識基準を開発することは、わが国の会計基準を高品質で国際的に整合性のあるものとし、投資家に有用な財務情報を提供することになること、また会計基準の体系の整備を図る観点からも重要であると考えられることから、開発に向けた検討に着手する運びとなった。


コメント:
収益は業種業態を問わず、事業に直結する重要な論点であり、コンバージェンスを進めることによって、財務諸表のトップラインである収益計上額の比較可能性や開示の充実に資することが期待される。一方で、IFRSの任意適用とは異なり、コンバージェンスすることは、その影響は大きく、かつ広範に及ぶと想定される。今後の動向には注視が必要である。


外部リンク:第308回企業会計基準委員会の概要