KNOWLEDGE & TOPICS ナレッジ&トピックス
ナレッジ&トピックス
2025年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
旧年中は格別のお引き立てを賜り、心より厚く御礼申し上げます。
2024年の日本経済は、インフレと円安に伴う輸入価格上昇が国内物価を押し上げた反面、企業の売上高・収益力は増大し、名目GDPも600兆円(年率換算速報値ベース)を突破、日経平均株価も1989年以来の高値を更新しました。こうした情勢の背景には、企業が内部留保の蓄積などの守りの経営から、分配と投資への転換、企業改革を積極化させたことがあると思われます。賃金引上げと設備投資や研究開発の増大などを伴いながら、デフレ経済からの完全脱却を目指して、「成長と分配の好循環」の実現に向けて攻めの経営に取り組んでいます。
一方で、マクロ的な観点からは、日本のGDPギャップはまだわずかですがマイナス圏にあり、デフレギャップの状態です。春闘では1991年以来、33年ぶりの賃上げとなりましたが、物価上昇分を差し引いた実質ベースでプラス基調に転じるには、なお時間を要するとの見通しもあります。また日本銀行は、大規模金融緩和政策から転換し、金融政策正常化を目指しており、追加利上げの時期、頻度に注目が集まっています。
2025年は、日本経済にとって、まさに30年来のデフレ経済を完全克服し、自律的かつ持続的な成長に向けた大きな転換点となることが期待されると同時に、「成長と分配の好循環」をどう定着、発展させていくか、その真価が問われる1年になりそうです。
グローバルな観点からは、年初にトランプ氏の米大統領就任という重要ベントを迎えます。米国景気の力強さが際立つ中で、米国第一主義を掲げる第2次トランプ政権(トランプ2.0)による高関税政策、不法移民取り締まり強化、減税政策は、地政学的なリスクと相まってインフレ再燃、金利上昇などの副作用をもたらす可能性が指摘されています。米国以外の国々では、中国は不動産不況と不良債権問題という課題に直面し、欧州では主要国のドイツ、フランスが停滞色を増しています。いずれにしろ、トランプ2.0が現実的にどんな政策を選択するかが、世界経済にとって最大の鍵を握るとされています。
2025年は、世界経済にとって、先行き不透明な情勢の中、さまざまな潜在的リスクに対して、どう対峙していくかが問われる1年となりそうです。
国際情勢が混迷を深める中、社会課題の解決と経済成長の両立を実現するにはイノベーションが欠かせません。そうした中で、経済社会は新たなフェースに向けて、社会構造の変革への取り組みを一層活発化しています。グリーントランスフォーメーション(GX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)、カーボン・ニュートラルの実現に向けた変革は、気候変動問題やIT(情報技術)の活用を通じた生産性の向上などの社会課題の解決およびサステイナブルな社会の実現に資するものです。また生成AI(人工知能)の急速な進展は、社会を一変させるパワーを秘めており、これまでにない新たなビジネスモデルやサービスの誕生を予感させます。2024年が、AI導入の「準備段階」とするなら、2025年は、AIが様々なサービスに取り込まれる「実装段階」に入ると位置づけられ、より多くの需要創出と裾野の広がりが期待されます。
我が国の企業会計においては、昨年3月にサステナビリティ基準委員会(SSBJ)からサステナビリティ開示基準の公開草案が公表されています。また金融庁金融審議会に「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」が設置され、2027年3月期以降、東証プライム上場企業の一部から段階的に適用対象を広げていくことを前提に議論が進められています。
また昨年11月には、金融庁より、政策保有株式の開示に関する「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案が公表されています。これにより、最近5事業年度以内に政策保有目的から純投資目的に保有目的を変更した株式は、銘柄や貸借対照表計上額、保有目的の変更理由などの開示が要請されます。いわゆる株式持ち合い解消に向けた動きが加速すると同時に、投資家に向けて合理性のある政策保有株式に係る丁寧な説明が求められることになると思われます。
今後もサステナビリティ情報開示やコーポレートガバナンス改革の充実などが期待されていますが、経済成長には、新しいビジネスモデルの創出に挑戦するスタートアップ支援や生成AI(人工知能)、量子コンピューター等、従来の枠組みを大きく転換し得るテクノロジーへの投資も欠かせません。スタートアップのM&Aを促進する基準の策定(のれんの非償却など)なども期待されます。IT(情報技術)時代の進展に伴うデジタル化への投資を推し進めると同時に、資本効率の向上など企業価値の増大に向けて、2025年は正念場の年になると思われます。
このような世界的な潮流のなかで、私たちコンサルティング業界も、求められるサービスの質やスキルも変化してきていますが、クライアントの皆様の課題解決とビジネスの持続的な成長に貢献するという使命に変わりはありません。常に変化に適応しながら、時代に即応したスキルとノウハウを磨くことが、サービスの品質向上につながるものと考えています。
プライムジャパン・コンサルティングは、2025年という大きな変革の時代にあって、私たちのビジョンである「Beyond Service.」の精神に基づき、引き続き以下の3点を経営目標として掲げて、切磋琢磨して参ります。
本年も「Beyond Service.」の原点を忘れることなく、皆様のビジョンの実現と企業価値向上を第一に、今後とも、最適なサービス、ソリューションを提供できるよう一同力を合わせて精進して参ります。本年も変わらぬご指導ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
末筆ではございますが、皆様のご多幸と益々のご発展をご祈念申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。
株式会社プライムジャパン・コンサルティング
代表取締役社長 菊川 真