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【図解M&A】第1回:M&Aの動向とその背景

トランザクションサービスチーム

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M&Aの動向


ここ10数年のM&A市場は、①拡大基調にあった90年代後半~2007年までと②減少基調に転じた2007年以降の2期間に大きく分けられる。以下にその背景をまとめる。


1.90年代後半~2007年:拡大期


● 経済環境の変化
バブル崩壊後の経済環境の変化に伴い、過剰設備・過剰債務・過剰人員の問題が顕在化し、業界再編・統合の動きが活発化した。一方で構造改革の一環で様々な業界で規制緩和が進み、事業の選択と集中および不採算事業のスピンアウトが加速した。

● 制度改正による環境整備
金融ビッグバンによる一連の金融制度改革が実施された。この結果、会計制度改革(連結決算、時価会計、減損会計、企業結合会計等)による透明性の向上、法制度(純粋持ち株会社、株式交換、会社分割等)の充実、組織再編税制の整備によりグループ再編や企業統合を後押し、M&Aとその防衛策も選択肢がより拡大した。

M&Aの動向



2.2007年~直近:国内案件の縮小と海外案件の増加


● 国内経済の低迷
2008年のリーマンショック後、M&A市場は縮小を余儀なくされたが、 2010年以降、海外案件が増加基調にあり、足元では過去最多を更新している。円高などで割安感が強まったこと、人口減少や消費低迷で国内市場が縮小する中、今後の成長戦略として海外市場への進出が加速していること、特に東日本大震災以降、国内市場の先行き不透明感が増す中、グローバル化への動きが活発化していることが主因として挙げられる。

● 手元流動性の拡大
ここ数年、多くの企業では大きな投資を控える一方で、手元流動性を高めてきた。加えて、低金利を背景として資金調達環境が良好であることから、M&Aが有力な選択肢として活用されている。国内経済の低迷を背景に、豊富な手元資金や円高を追い風に、海外市場に活路を見いだそうとする動きが広がっている。