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「現物分配」とは、剰余金の配当またはみなし配当により株主に対して金銭以外の資産を交付することをいいます(法法第2条第12の6号、12の6の2号)。
移転法人において、移転資産等に係る譲渡損益を認識し、当該譲渡損益は益金の額又は損金の額に算入され、課税されるのが原則となります(法法62条第2項)。特例として、適格組織再編成に該当する場合には、移転資産等を帳簿価額のまま引継ぎ、譲渡損益の計上を繰り延べることになります(法法62条の2、62条の3、62条の4、62条の5第2項)。つまり、移転資産等を他に売却したときに課税されることになります。
Q37 法人税法の適格組織再編成は、どのような場合に該当しますか?
適格組織再編成は、(1)グループ内組織再編成と(2)共同事業を営むための組織再編成に分けられます。
(1)グループ内組織再編成
グループ内組織再編成は、①保有割合が100%の完全支配関係がある法人間で行う組織再編成と②保有割合が50%超100%未満の支配関係がある法人間で行う組織再編成に分けられます。それぞれの場合において、次の一定の要件を満たす場合に、適格組織再編成と認められます。
① 保有割合が100%の完全支配関係がある法人間で行う組織再編成 ・金銭等の支払がないこと ・100%の完全支配関係の継続
②保有割合が50%超100%未満の支配関係がある法人間で行う組織再編成 ・金銭等の支払がないこと ・50%超の支配関係の継続 ・主要な資産・負債の移転 ・移転事業従業者の概ね80%が移転先事業に従事(株式交換・株式移転の場合は完全子法人の従業者の継続従事) ・移転事業の継続(株式交換・株式移転の場合は完全子法人の事業の継続)
(2)共同事業を営むための適格組織再編成
共同事業を営むための組織再編成の場合は、以下の要件を満たす場合には、適格組織再編成と認められます。
・金銭等の支払いがないこと ・事業の関連性があること ・事業規模(売上、従業員、資本金等)が概ね5倍以内 又は 特定役員への就任(株式交換・株式移転の場合は完全子法人の特定役員の継続) ・主要な資産・負債の移転 ・移転事業従業者の概ね80%が移転先事業に従事(株式交換・株式移転の場合は完全子法人の従業者の継続従事) ・移転事業の継続(株式交換・株式移転の場合は完全子法人の事業の継続) ・移転対価である株式の継続保有
適格組織再編の方法としては、適格合併(法法第2条12の8号)、適格分割(法法第2条12の11号)、適格現物出資(法法第2条12の14号)、適格現物分配(法法第2条12の15号)、適格株式交換(法法第2条12の16号)、適格株式移転(法法第2条12の17号)があります。
株主が、合併法人等の株式のみの交付(合併、分割及び株式交換については、合併法人、分割承継法人又は株式交換完全親法人の100%親法人の株式のみの交付を含む)を受けた場合は、旧株の帳簿価額により譲渡したものとして、譲渡損益の計上が繰延べられます(法法第61条の2第2項)。
合併法人等の株式以外の資産の交付を受けた場合には、旧株を時価により譲渡したものとして、譲渡損益の計算を行い益金の額又は損金の額に算入することになります(法法第61条の2第1項)。
非適格合併、事業単位の移転が行われる非適格分割、非適格現物出資、事業譲渡に係る承継法人または事業譲受法人は、移転を受けた資産および負債の取得価額は個別時価を付し、退職給付債務等は負債として認識し、これらの時価純資産価額と支払対価との差額を資産調整勘定(正ののれん)または負債調整勘定(負ののれん)として計上することになります(法法62条の8第1項および第2項)。
資産調整勘定および負債調整勘定は、5年均等に減額され、損金の額または益金の額に算入される(法法62条の8第4項および第7項)。