Knowledge/解説コラム

【決算早期化のポイント】 第2回 決算早期化へのアプローチ

決算早期化対応チーム

2011/04/04

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<作業工程表>


5回シリーズで、決算の正確性を確保しつつ、決算早期化の実現へ向けた具体的アプローチ方法を提言していきます。今回は第2回目として、早期化のための具体的アプローチをご紹介します。


<具体的アプローチ>

■ 早期化実現のための手順

早期化実現のためには、経理部門内または社内横断的にプロジェクトチームを設置し、当該チームが、現状分析、ボトルネックの発見とその対応策の策定、実施・進捗管理を行う推進役を担います。プロジェクトチームが得た改善のためのノウハウに基づいて、決算作業実施チームが自ら改善手法をチーム内に定着化させていくことになります。

決算早期化のために設定された目標を前提として、現状と目標との間にどの程度ギャップがあるかの分析を実施する必要があります。ギャップ分析に際しては事前に問題点となり得る項目を想定したうえで現状把握に努め、現状と目標との差について、具体的な内容、発生原因、改善方法立案、優先順位の決定につなげていくことになります。現状を把握しギャップ分析を行うためには、まず現状の決算作業内容を網羅的に記録した一覧表である決算作業工程表(添付ファイル作業工程表.pdf)を作成し、これに基づき各作業工程のあるべき姿を明確にするとよいでしょう。


■ 決算作業内容の洗い出しの方法~決算作業工程表の作成方法

決算作業工程表は、大分類、作業工程(大)、作業工程(中)、作業工程(詳細)、担当者、締め日数(予定・実績)、標準作業時間、実績作業時間等の項目で構成され、決算作業の各工程についてこれらの項目を記載します。

単体決算を例にすると、経理部門における決算作業について、事前準備作業、勘定科目の締め作業、親会社への決算報告(連結パッケージ作成を含む。)等の分類を「大分類」に記載したうえで、それぞれの大分類にて実施している詳細作業内容、実施者、実施時期・時間等を記録していきます。この際、勘定科目の締め作業の分類における「作業工程(大)」については、主として勘定科目ベース、作業ベース、担当者ベースにより記載する方法がありますが、決算作業工程表作成の際には勘定科目をベースとして記載するのがお薦めです。これは最終的な財務諸表とのつながりを捉え、また内部統制の観点をも考慮すると、勘定科目ベースで工程を記載することで決算作業の洗い出しの網羅性を確保することができるからです。ただし、決算作業工程表作成後、経理部門管理者は決算作業工程表の項目を作業ベース、担当者ベースで任意に並べ替えを行うことによって、必要な管理に用いることができます。

作業工程(詳細)については、各勘定科目の締めにあたって、経理部門において実施している決算作業を記載します。一般に、段取りとしての準備、計数の加工・算出等、起票、検証、承認、報告、保管等に大きく分かれると考えられます。この作業工程(詳細)の記載にあたっては、その区分の仕方が実務上課題となります。この点、決算作業者がどのような作業を実施するかという観点ではなく、決算作業で作成される資料・情報等の成果物がどのような作業手順を経て完成するのかという観点から区分していくことが重要です。したがって通常は、資料・情報等について入手した時点、それら資料・情報等の正当性を確認した時点、部門内で資料・情報を加工し計数を算出した時点、算出した計数が部門内で検証・承認された時点等の観点から区分し記載するとよいです。また、この作業工程(詳細)の記載は、次回以降においてご紹介する決算チェックリスト上も重要な位置づけとなるものです。


作業締め日数(予定)、標準作業時間の記載について、前者は設定した目標を前提としたあるべき完了日時を、後者は決算業務に精通した担当者が実施する場合の標準的な時間をそれぞれ記載しておくと、実績との差異分析に活用できます。

なお、プロジェクトチーム主導で決算作業工程表を作成する場合は、決算作業に携わっている経理部門メンバーを相手にヒアリングする形式で、作業工程の洗い出しを行います。この場合、プロジェクトチーム担当者は、常に現状の作業工程とあるべき作業の姿とを比較しながら進めることがポイントになります。これにより、経理部門メンバーとしては当たり前と考えて実行していた作業が実は重複排除や順番の入れ替え、複数作業の同時実施等により、効率化できる可能性があるからです。また、経理部門メンバーの中には、改善すべき事項及び改善策を具体的なイメージとして持っているにもかかわらず、提案する機会が設けられていないことも多いかと思います。したがって、ヒアリングに際してはメンバーの疑問やニーズ、改善要求を洩れなく聞き取りリスト化することも心がけなければなりません。


今回はここまでですが、次回からは決算早期化に向けて、より具体的な工程の改善策等についてご紹介します。