Knowledge/解説コラム

【IFRSポイント解説】第10回:法人所得税

IFRS対応PT

2011/12/21

IFRSに関する実務上のポイントをシリーズでお届けしています。
第9回目は、法人所得税に関する実務上のポイントとして、1.繰延税金資産の回収可能性と2. 繰延税金負債についての当初認識に関する適用例外について取り上げます。


1.繰延税金資産の回収可能性


◆基準間差異


(1)日本基準
日本基準においては、将来減算一時差異に係る繰延税金資産の計上に当たっては、① 収益力に基づく課税所得の十分性、② タックスプランニングの存在、③ 将来加算一時差異の十分性を考慮して、当該資産の回収可能性を決定します。


(2)IFRS
繰延税金資産は、① 収益力に基づく課税所得の十分性、② タックスプランニングの存在、③ 将来加算一時差異の十分性を考慮して、将来減算一時差異を利用できる課税所得が生ずる可能性が高い範囲内で認識しなければなりません。
したがって、回収可能性があると認められる金額で繰延税金資産を直接計上することになります。


(3)基準間差異
日本基準、IFRSともに繰延税金資産の回収可能性の判断に当たっては、収益力に基づく課税所得の十分性、タックスプランニングの存在、将来加算一時差異の十分性を考慮して判断する点においては同じとなっており、差異が非常に分かりにくくなっています。具体的に言うと、日本基準では、監査委員会報告第66号における5分類に応じた詳細なガイダンスを基に回収可能性の判断を行い、それぞれの分類に応じた範囲内で繰延税金資産を計上することになります。一方、IFRSではこのような詳細なガイダンスは定められておらず、将来課税所得が生ずる可能性が高く、回収可能と認められる将来減算一時差異については全額繰延税金資産を計上することになります。


◆実務上のポイント
例えば、日本基準においては、監査委員会報告第66号における区分が3又は4但し書の場合、将来課税所得の合理的な見積可能期間は概ね5年間としており、その期間の将来見積課税所得の範囲内で、回収可能と認められる将来減算一時差異について繰延税金資産を計上することになります。
一方、IFRSにおいては、将来課税所得が発生する可能性があるかどうかが重視されており、合理的な見積可能期間の明確な規定がなく、5年を超える一時差異等のスケジューリングが可能となります。
例えば、保有株式について過去減損損失を計上している場合において、日本基準では5年内で売却することを決定していない限りスケジューリング不能な一時差異として繰延税金資産の計上はできないと考えられますが、IFRSにおいては明らかにスケジューリング不能な一時差異、つまり、株式の減損損失のうち当該株式を売却しないと明確に意思表示しているものについては、繰延税金資産を計上することができませんが、それ以外の株式については、当該減損損失に関する繰延税金資産を計上することになるものと考えられます。また、将来課税所得が生じる可能性が高いと判断する客観的な証拠とともに説明可能であれば、その範囲内で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上します。