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IASB、実務記述書第2号「重要性の判断の行使」を公表

プライムジャパン・コンサルティング
会計情報リサーチ

2017/09/20

国際会計基準審議会(IASB)は、2017年9月14日、実務記述書第2号「重要性の判断の行使」(以下、「本実務記述書」という)を公表した。本実務記述書は、IFRS基準における重要性の要件について、企業が情報に重要性があるか否かを判断する際の実務上のガイダンスを提供するものである。



【経緯】


重要性の概念は、企業がどの情報を財務報告に含めるべきかまたは除外すべきかを決定する際に役立つものであり、財務諸表の作成において重要である。しかし、財務報告開示に関する討議フォーラム(2013年)やIAS 第 1 号修正案「開示に関する取組み」(2014年公開草案)に対するフィードバック等を通じて、企業が財務諸表を作成するにあたっての重要性の判断に関して、実務上、困難が伴っていることが指摘されていた。一部の企業では、重要性の判断をどのように行うのかについて確信が持てないため、IFRS基準における開示要求をチェックリストとして機械的に使用している事例も見られた。


このためIASBは、2017 年 9 月、 企業が重要性の判断を行う際のガイダンスとして、本実務記述書を公表した。本実務記述書は、IFRS基準におけるすべての重要性の要求事項を集めるとともに、情報に重要性があるかどうかを企業が決定する際に有用となる可能性のある実務上のガイダンスおよび設例を加えている。IASBは、本実務記述書により、企業が財務諸表を作成するにあたっての開示上の問題(不適切な情報を過大に開示することや適切な情報が十分に開示されないこと)の解決に貢献できるとしている。


なお、IASBは、重要性に関する定義を明確化し、財務報告の概念フレームワークにおける定義と整合させるために、2017年9月14日、公開草案「『重要性がある』の定義(IAS第1号及びIAS第8号の修正案)」を公表している。本実務記述書においても、「重要性がある」に関して、公開草案と同じ定義を使用している。



【4ステッププロセス概要】


本実務記述書では、企業が情報に重要性があるか否かを判断する際の有用なプロセスとして、4ステッププロセス(The four-step materiality process)を説明している。4つのステップから成る「重要性プロセス」を定義することにより、財務諸表の作成における重要性の判断の持つ役割および重要性の判断に際して考慮すべき要素を明らかにしている。



・ステップ1.識別

潜在的に重要性がある情報を識別するステップ。企業は、主要な利用者が意思決定を行うために必要となる取引、その他の事象および状況に関する情報ついて識別し、適用可能なIFRS要件を検討する。


・ステップ2.評価

ステップ1で識別された情報について重要性があるか否かを評価するステップ。評価の際、企業は量的要素よび質的要素の両方を検討する必要がある。


・ステップ3.整理

明確かつ簡潔な情報提供となるよう、当該情報を財務諸表案の中で整理するステップ。明確かつ簡潔に情報を分類・整理し、表示することは、当該情報に対する理解可能性を高める。ただし、その過程では企業の判断を伴う。


・ステップ4.レビュー

すべて重要な情報が識別されたかどうか、また財務諸表全体として重要性がないかどうかを検討するステップ。企業は、情報が個別で重要性があるのか、また、他の情報と組み合わせると重要性があるのかを、財務諸表全体の視点から検討する必要がある。個別には重要性がない場合でも、合算すると重要性がある場合がある。


本実務記述書は、基準を構成するものではないため強制ではない。また、既存の要件を変更したり、新しい要件を追加したりするものでもない。なお、本実務記述書は2017年9月14日以降作成する財務諸表から適用可能である。


以上


外部リンク:
IASB issues Practice Statement 2 Making Materiality Judgements and publishes Exposure Draft Definition of Material
IFRS Practice Statement 2: Making Materiality Judgements