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IASB、IFRIC解釈指針第23号「法人所得税の処理に関する不確実性」を公表

プライムジャパン・コンサルティング
会計情報リサーチ

2017/06/16

国際会計基準審議会(IASB)は、2017年6月7日、IFRIC解釈指針第23号「法人所得税の処理に関する不確実性」(以下、「本解釈指針」という)を公表しました。本解釈指針は、法人所得税の税務処理に不確実性がある場合の、IAS第12号「法人所得税」の適用に関する取扱いについて明確化することを目的としています。



【背景】


特定の取引や状況において、税法の規定がどのように適用されるのか不明確な場合や、特定の税務処理に関する適用の可否が、税務当局の将来的な決定に左右される場合があります。IAS第12号は、税金資産・税金負債の認識および測定に関する要求事項を定めていますが、このような不確実な税務処理※がある場合の影響を、会計上、どのように反映するのかは定めていません。


本解釈指針は、法人所得税の処理に不確実性がある場合に、IAS第12号「法人所得税」の認識および測定に関する要求事項をどのように適用するのかについて明確化することを目的としています。企業は、課税所得(損失)、課税標準、繰越欠損金、繰越税額控除および税率の決定について本解釈指針を適用することによって、当期および繰延税金資産・税金負債の認識および測定を行うことになります。


※ 不確実な税務処理とは、ある特定の税務処理を、税務当局が認めるか否かに関して不確実性がある場合をいう。例えば、特定の収入を課税所得に含めないという企業の決定が、税務上、認められるか不確実な場合、当該処理は不確実な税務処理となる。

【概要】


本解釈指針の主な内容は、以下のとおりです。


項目概要
会計処理単位不確実性のある税務処理を個別に検討するか、あるいはまとめて検討するのかの決定は、どちらの方がより適切に不確実性の解消の予測ができるのかという観点から行う。この場合、企業は以下の点も考慮する。① 税務申告書における当該税務処理の疎明方法② 予想される税務当局の調査内容および論点
判断の前提条件不確実な税務処理の取扱いを検討するにあたっては、税務当局が当該処理を調査する権限を有し、かつ関連するすべての情報に係る十分な知識を備えていることを前提として、企業はその判断を行わなければならない。
会計処理方法
  1. 税務処理が容認される可能性が高い場合
  2. 企業は、不確実性のある税務処理が税務当局に認められる可能性が高いと結論付けた場合には、税務上の処理と整合するように法人所得税の会計処理を決定しなければならない。

  3. 税務処理が容認される可能性が高くない場合
  4. 企業は、不確実性のある税務処理が税務当局に認められる可能性が高くないと結論付けた場合には、不確実性に伴う影響を会計処理に反映しなければならない。この際、企業は、以下のいずれかのうち、より適切に不確実性の解消を予測できる方法に基づいて決定する。① 最も可能性の高い金額を用いる方法  当該方法は、起こり得る結果が、二者択一かひとつの値に集中している場合により適切と考えられる。② 最も可能性の高い期待値を用いる方法  当該方法は、起こり得る結果が、二者択一でなく、かつひとつの値に集中していない場合により適切と考えられる。
  5. 首尾一貫性
  6. 不確実性のある税務処理が、当期税金と繰延税金の双方に影響を与えている場合には、企業は、当期税金と繰延税金に対して首尾一貫した判断と見積りを行わなければならない。
事実・状況の変化判断や見積りの前提となった状況が変化した場合や新たな情報があった場合には、当該判断または見積りを再評価しなければならない。状況の変化や新たな情報には、例えば、以下の場合が含まれる。① 税務調査の結果や類似取引に関する税務当局の判断② 税制等に関する制度変更③ 税務当局による税務調査権限の期限切れ
なお、税務当局の見解が出ていないことは、それ単独では、事実や状況の変化または新たな情報には該当しない。


【開示】


本解釈指針では新たな開示の要求事項は含まれていませんが、現行の規定に照らして、不確実な税務処理に係る判断や見積りに関する開示をするか否かを決定しなければなりません。


  • 会計処理を決定する過程で行った判断(IAS第1号第122項)
  • 会計処理を決定するにあたって使用した仮定および見積りに関する情報(IAS第1号第125項~第129項)
  • 偶発事象の開示(IAS第12号第88項)


【適用時期および移行措置】


本解釈指針は、2019年1月1日以後開始する事業年度から適用されます。なお、早期適用は認められています。

また、適用初年度は、以下のいずれかの方法により本解釈指針を適用します。


  • 事後的判断なしに適用可能な場合、IAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」に従い遡及適用する。
  • 適用開始時に、本解釈指針の適用による累積的影響額を利益剰余金期首残高の調整により認識する。


以上



外部リンク:
IASB Interpretation on IAS 12 Income Taxes