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ASBJ、有償ストック・オプションの会計処理案を公表
~労働サービスの対価として報酬費用を計上~

プライムジャパン・コンサルティング
会計情報リサーチ

2017/05/12



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企業会計基準委員会(ASBJ)は、2017年5月10日、実務対応報告公開草案第52号「従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引に関する取扱い(案)」(以下、「本公開草案」という)を公表しました。本公開草案では、従業員等に対して付与される権利確定条件付き有償新株予約権について、無償ストック・オプションと同様、労働サービスの提供に対する対価として報酬費用を認識することが提案されています。


近年、企業が従業員等に対して新株予約権を付与する場合に、当該従業員等が一定の額の金銭を払い込む取引が増加しています※1。しかしながら、この有償新株予約権については、企業会計基準第8号「ストック・オプション等に関する会計基準」(以下、「ストック・オプション会計基準」という)の適用範囲に含まれるか否かが明確でなく、現行実務では、その法形式に着目して、新株予約権に関する会計基準(複合金融商品適用指針)に従った会計処理を行っている企業が多いとされています※2。こうした状況を踏まえ、本公開草案は、権利確定条件付き有償新株予約権に係る会計処理について、その取扱いを明確化することを目的として公表されたものです。


※1 2010年1月から2017年1月までに、有価証券報告書提出会社299社で当該取引が行われている(ASBJ事務局による調査)※2 「現行の実務においては、企業が権利確定条件付き有償新株予約権を発行している場合、複合金融商品適用指針に定める処理、すなわち、発行時の払込金額を新株予約権として計上し、権利行使時に権利行使に伴う払込金額及び行使された新株予約権の金額の合計額を資本金又は資本剰余金に計上している企業が多いと考えられ、ストック・オプション基準に従って報酬費用を計上している企業は少ないと考えられる。」(第323回企業会計基準委員会:2015年11月6日)



【本公開草案の概要】



1.範囲


本公開草案は、企業がその従業員等に対して権利確定条件が付されている新株予約権を付与する場合に、当該新株予約権の付与に伴い当該従業員等が一定の額の金銭を企業に払い込む取引(以下、当該取引において付与される新株予約権を「権利確定条件付き有償新株予約権」という)を対象とする。



2.適用する会計基準


従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与する場合、当該新株予約権は、ストック・オプション会計基準第2項(2)※3に定めるストック・オプションに該当するものとする。


※3 自社株式オプションのうち、特に企業がその従業員等に報酬として付与するもの。



3.会計処理


(1) 権利確定日以前の会計処理


① 権利確定条件付き有償新株予約権の付与に伴う従業員等からの払込金額を、純資産の部に新株予約権として計上する。
② 各会計期間における費用計上額は、権利確定条件付き有償新株予約権の公正な評価額から払込金額を差し引いた金額のうち、当期に発生したと認められる額を、対象勤務期間を基礎とする方法その他合理的な方法に基づき算定する。
③ 権利確定条件付き有償新株予約権の公正な評価額は、公正な評価単価に権利確定条件付き有償新株予約権数を乗じて算定する。
④ 公正な評価単価は付与日において算定し、ストック・オプション会計基準に定める条件変更の場合を除き見直さない。公正な評価単価における算定技法の利用については、ストック・オプション会計基準第6項(2)に従う。
⑤ 権利確定条件付き有償新株予約権数の算定およびその見直しによる会計処理は、次のとおりに行う。


  1. 有償新株予約権数の算定
  2. 付与日において、付与された権利確定条件付き有償新株予約権数(以下、「付与数」という)から、権利不確定による失効の見積数を控除して算定する。

  3. 権利不確定による失効の見積数の重要な変動
  4. 付与日から権利確定日の直前までの間に、権利不確定による失効の見積数に重要な変動が生じた場合には、有償新株予約権数を見直す。見直し後の有償新株予約権数に基づく権利確定条件付き有償新株予約権の公正な評価額から払込金額を差し引いた金額のうち、合理的な方法に基づき見直しを行った期までに発生したと認められる額と、これまでに費用計上した額との差額は、見直した期の損益として計上する。

  5. 権利確定日
  6. 権利確定条件付き有償新株予約権数を権利の確定した有償新株予約権数に修正する。修正後の有償新株予約権数に基づく権利確定条件付き有償新株予約権の公正な評価額から払込金額を差し引いた金額と、これまでに費用計上した額との差額は、権利確定日の属する期の損益として計上する。

⑥ 新株予約権として計上した払込金額は、権利不確定による失効に対応する部分を利益として計上する。



(2) 権利確定日後の会計処理


① 権利確定条件付き有償新株予約権が権利行使され、これに対して新株を発行した場合、新株予約権として計上した額のうち、当該権利行使に対応する部分を払込資本に振り替える。
② 権利不行使による失効が生じた場合、新株予約権として計上した額のうち、当該失効に対応する部分を、当該失効が確定した期に利益として計上する。



(3) 本公開草案に定めのないその他の会計処理については、ストック・オプション会計基準および企業会計基準適用指針第11号「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」(以下、「ストック・オプション適用指針」という)の定めに従う。



4.開示


権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引に関する注記は、ストック・オプション会計基準第16項およびストック・オプション適用指針第24項から第35項に従って行う。



5.適用時期等


(1) 本実務対応報告は、公表日以後適用する。
(2) 公表日より前に従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与した取引については、従来採用していた会計処理を継続することができる。この場合、当該取引について次の事項を注記する。


① 権利確定条件付き有償新株予約権の概要(各会計期間において存在した権利確定条件付き有償新株予約権の内容、規模(付与数等)およびその変動状況(行使数・失効数等))
② 採用している会計処理の概要



6.「払込資本を増加させる可能性のある部分を含む複合金融商品に関する会計処理(案)」


本公開草案と併せて、企業会計基準適用指針公開草案第57号「払込資本を増加させる可能性のある部分を含む複合金融商品に関する会計処理(案)」(企業会計基準適用指針第17号の改正案)が公表されており、本公開草案の適用対象となる新株予約権は、同適用指針の適用範囲に含まれないことが提案されている。


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