Knowledge/解説コラム

【代表者コラム】価値創出プロセスとしての経理財務部門

菊川 真  プライムジャパン代表 公認会計士

2011/10/05

企業活動は、言うまでもなくヒト・モノ・金・情報を経営資源とした「付加価値創造のプロセス」です。そして企業会計は、そのような企業活動を支えるインフラとしての機能を果たしており、その成果物として財務諸表を開示しています。
ここで財務諸表は、「記録と慣習と判断の総合的所産である」とよく言われます。「記録」は、一定の会計事実を適正な基準に基づいて複式簿記の原則により記録することであり、「慣習」は、それらの会計記録が、実務の積み重ねを経た一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいていること、そして「判断」は、そのような会計基準を選択適用する過程において、多分に経営者の判断が伴うことを表しています。特に経済活動および業種・業態の多様化に伴い、見積りの要素が強くなった近年の財務会計では、金融商品、繰延税金資産の回収可能性、減損会計等の多くの会計処理において、経営者の明確なポリシーと判断を伴っています。


このような経営者の判断に当たっては、その前提となる一定の知見と判断材料が必要になります。複雑・多岐に亘る取引を網羅的に捉え、全体を俯瞰しつつ、個々の実態を適切に反映していく作業は一筋縄で行かないことも多くありますが、実務部隊として、そのような作業を担っているのが決算の現場です。昨今の経理部門は、内部統制の整備・運用や四半期決算への対応、さらにはIFRS対応も含めると多忙を極めつつあります。制度的な期限を抱えながら、スピード感を保ちつつ、適時・的確なディスクローズを継続的に実施していくには相応のインフラと優秀な人材の確保も求められます。そして、外部の環境要因も加味しながら、個々の取引実態を評価していくことは、多くの場合、高度かつ精緻な作業を伴うものですが、このような決算の一連の過程は単なるオペレーションの集積ではなく、いわば「現場」のさまざまな知恵とアイデア、ノウハウが結集したプロセスと捉えることが可能です。「価値創造のプロセス」である企業活動を支えるインフラが企業会計であれば、その現場を担う経理部門もひとつの価値創出のプロセスを担っていると言えます。


私がこのようなことを最も強く感じたのは、いくつかのコンバージョン・プロジェクトに参加したときです。いずれも日本の会計基準から他の会計基準(IFRS、USGAAP)へコンバージョンするものでしたが、そのプロセスは多くの知恵とアイデアの結集だったと今でも感じています。