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金融庁、「金融モニタリング有識者会議報告書」を公表

2017/03/22

金融庁は、2017年3月17日、「金融モニタリング有識者会議報告書‐検査・監督改革の方向と課題-」(以下、「本報告書」という)を公表した。

現在のわが国の金融行政は、金融危機後の検査・監督体制から見直しの過程にあるとの認識のもと、有識者会議では、昨年8月以降、目指すべき新しい検査・監督のあり方について議論を行ってきた。本報告書は、そうした議論を踏まえ、今後の検査・監督の改革の方向を提言するとともに、実現する上での課題について示している。


【背景と改革の方向】

本報告書では、これまでの金融行政の取組みと現状について、以下のように分析している。

  • 環境や優先課題が変わる中で、事後的チェックや資産査定中心の従来の検査・監督手法では、金融行政の目標は十分に達成できず、副作用が生じるおそれもある。
  • 金融行政の究極的な目標を達成するためには、金融システムの安定だけでなく、金融仲介機能や利便性の向上に重点を置くことが重要。
  • 経営環境は厳しさを増しており、適切なリスクテイクを通じて収益性が確保されなければ、持続的な健全性は確保されない可能性が高まっている。
  • リスクの所在と変化はスピードを速めており、フォワードルッキングなリスク把握と対応力の必要性が高まっている。

上記を踏まえ、本報告書では、目指すべき改革の方向として、以下の3点を提言している。

  1. 金融行政の究極的な目標との整合性を確保すること
  2. 「形式・過去・部分」から「実質・未来・全体」へと視点を広げること
  3. 「最低基準の充足状況の確認」にとどまらず、「ベスト・プラクティスに向けた対話」や、「持続的な健全性を確保するための動的な監督」に検査・監督の重点を拡大すること


【概要】

1.究極的な目標との整合性の確保


金融行政については、従来の金融システムの安定、利用者の保護、市場の公正性・透明性の確保という3つの目標から視野を広げ、それらを通じて究極的には「企業・経済の持続的成長と安定的な資産形成等による国民の厚生の増大に寄与すること」と位置づけることが適切であるとしている。その上で、検査・監督のあり方が究極的な目標と整合的な姿となっているかどうか、絶えず点検を続け、必要な見直しを続けるべきであるとしている。


金融行政の究極的な目標

① 金融システムの安定と金融仲介機能の発揮の両立② 利用者の保護と利用者利便の両立③ 市場の公正性・透明性と活力の両立

矢印

企業・経済の持続的成長と安定的な資産形成等による国民の厚生の増大に寄与すること


2.検査・監督の重点領域のシフト


従来、優先課題とされていた「最低基準の充足状況の確認」を通じた健全性や法令遵守の確保は概ね実現されている一方、環境変化に伴う新たな課題に対処するためには、主に以下の2つの領域へ検査・監督の重点をシフトしていくことが必要であるとしている。

① ベスト・プラクティスの追求に向けた対話
企業の生産性向上等への寄与や利用者の最善の利益に沿った商品・サービスの提供など、金融機関によって利用者目線に立った多様な創意工夫が発揮されるよう、当局はその知見を活かしながら情報提供し、対話を行うことが必要である。
② 持続的な健全性を確保するための動的な監督
これからの健全性監督は、足元の状況に重点を置くのではなく、収益・リスク・自己資本の間のバランスが取れているか、変化する経営環境の中でビジネスモデルが持続可能か、といった点を全体的・実質的に評価していくことが重要である。


3.「形式・過去・部分」から「実質・未来・全体」へ


検査・監督の手法を、従来陥りがちであった「形式・過去・部分」から脱却し、「実質・未来・全体」に視点を広げたものにするべきであることを提言している。

形式から実質へ形式的なチェックより、実質的に良質な金融サービスの提供を重視
過去から未来へ過去の健全性より、将来に向けたビジネスモデルの持続可能性等を重視
部分から全体へ個別問題ではなく、真に重要な問題への対応ができているかを重視


以上





外部リンク:
金融庁、「金融モニタリング有識者会議報告書」を公表