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平成29年3月期決算における法定実効税率の算定
~平成28年度税制改正および消費税率引き上げ時期の変更に伴う実務対応~

2017/02/10

1. 税制改正等の内容


平成28年度税制改正(平成28年3月29日成立)では、法人税率の引下げをはじめとして、主に以下の措置が盛り込まれていました。


① 法人税率の引下げ(平成28年度および平成30年度の2段階に分けて実施)
② 地方法人税の拡大※1
③ 地方法人特別税の廃止※2


※1 法人住民税(地方税)を引下げる一方、地方交付税の原資となる地方法人税(国税)のウェイトを引上げる措置。ただし、合計の税率は変わらないため、結果として法定実効税率の計算結果には影響しない。※2 地方法人特別税を廃止し、法人事業税へ復元するもの。ただし、地方法人特別税の税源がそのまま法人事業税に移行するので、合計の税率は復元前と変わらず、法定実効税率には影響しない。


【PDFはこちら】

しかし、昨年11月、消費税率10%への引上げ時期を平成31年10月1日まで2年6ヶ月延期する税制改正が成立しました(「消費税率の引上げ時期の変更に伴う税制上の措置」)。これに伴い、当初、平成29年度から適用とされていた上記②地方法人税の拡大および③地方法人特別税の廃止についても、平成31年10月1日以後に開始する事業年度から適用することに改められています。


外形標準課税適用法人の事業税に対して超過税率を採用する自治体のうち、東京都、大阪府、宮城県、兵庫県の4つの自治体では、地方法人特別税の廃止を前提として、すでに平成29年4月1日以後開始する事業年度に係る法人事業税所得割の超過税率に係る条例改正を行っていました。先般の地方法人特別税の廃止延期を受けて、各自治体では再度の条例改正を実施済みまたは実施予定としており、東京都では本年2月の議会での条例改正を見込んでいます。現状では、全ての自治体において法人事業税所得割の超過割合について変更はない見通しであり、税効果会計に適用する法定実効税率に影響はない見込みです。


【平成28年度税制改正および消費税率引き上げ時期の変更に伴う税率改正】

図表1


【東京都法人事業税(現行)】

図表2


【法人都民税法人税割(現行)】

図表3


※3. H28年4月1日以後に開始する事業年度に適用※4. H29年4月1日以後に開始する事業年度に適用※5. H30年4月1日以後に開始する事業年度に適用※6. 都道府県民税と市町村民税を合計した税率を示している。なお、( )内は制限税率。※7. 外形標準課税適用法人かつ軽減税率不適用の場合。( )内の税率は、地方法人特別税を含んだ税率(0.7%+0.7%×414.2%=3.6%)である。



2. 法定実効税率の算定


税効果会計における法定実効税率算定の対象となる税金は、利益に関連する金額を課税標準とする税金です。また、税効果会計上の繰延税金資産または繰延税金負債の金額は、回収または支払が見込まれる期の税率に基づいて計算するものとされており、当該計算に用いる税率は、決算日において国会で成立している税法に規定されている税率によります(成立日基準:適用指針5項・6項)。


図表4



3. 東京都の外形標準課税適用法人の場合


以下、外形標準課税適用法人の法定実効税率(東京都の場合)の計算例を示します。現状、東京都では事業税所得割の超過割合の変更は行われないことが見込まれていますので、ここでは、その前提での計算例を示します。



(1) 平成29年4月1日以後、かつ平成30年3月31日以前に解消が見込まれる一時差異等に乗じる法定実効税率


図表5



(2) 平成30年4月1日以後、かつ平成32年3月31日以前に解消が見込まれる一時差異等に乗じる法定実効税率


図表6



(3) 平成32年4月1日以後に解消が見込まれる一時差異等に乗じる法定実効税率


東京都は昨年の6月、地方法人特別税が廃止された後に適用される法人事業税率について、平成29年4月1日以後に開始する事業年度から3.78%とする条例改正を行っていました。
また、平成29年度の法人住民税法人税割についても10.4%としています。今回の延期措置を受けて、再度条例改正が予定されていますが、超過割合については変更しないこととされていますので、以下の計算例においても事業税超過税率3.78%、法人住民税率10.4%として計算しています。



図表7



以上





関連リンク:
・平成28年3月期決算における法定実効税率の算定~平成28年度税制改正を踏まえた実務対応~
・東京都、事業税超過税率(案)を公表~平成28年度税制改正に伴う条例改正案~


外部リンク:
・財務省 消費税率引上げ時期の変更に伴う税制上の措置の概要