Knowledge/解説コラム

【代表者コラム】「IFRS第15号の明確化」のポイント解説【後半】
~公表後の主な動向~

菊川 真  プライムジャパン代表 公認会計士

2016/07/07

【前半サマリー】

Ⅰ. はじめにⅡ. IASBとFASBの改訂内容の異同Ⅲ. 本改訂のポイント1. 履行義務の識別(1)契約の観点からの区別可能性
(2)明確化の背景と改訂内容
(以上、6月30日付前半)


Ⅲ.本改訂のポイント


【PDFはこちら】

2.個別論点「本人か代理人かの検討」


(1)本人・代理人の評価

IFRS第15号では、自社以外の他の当事者が顧客への財・サービスの提供に関与している場合、自社がその取引における本人なのか代理人なのかを判定することを求めています。すなわち、企業は顧客とのの約定の性質を評価し、当該約定が、特定の財・サービスを自ら提供する履行義務(企業は本人)なのか、または、他方の当事者がそれらの財・サービスを提供するための手配をする履行義務(企業は代理人)なのかを判断することになります(B34項)。この場合、本人か代理人かの評価は、特定の財・サービスが顧客に移転される前に、その財・サービスを企業が支配しているかどうかに基づいてなされます。特定の財・サービスを顧客に移転する前に、企業が当該財・サービスを支配している場合には、企業は本人となります(B35項)。そして、本人の場合は対価を収益として総額で計上し、代理人の場合は対価である手数料を純額で計上することになります。


① 特定の財・サービスを企業が自ら顧客に提供する場合  企業は「本人」であり、対価を「総額」で収益計上② 他の当事者が特定の財・サービスを提供するための手配を行う場合  企業は「代理人」であり、対価を「純額」で収益計上

本人か代理人かの判定



(2)本改訂前の懸念事項

本人か代理人かの検討について、TRGの議論においては、利害関係者より以下のような指摘がなされていました。


① 無形の財・サービスの場合


顧客との約定において、移転するものが無形の財・サービスである場合に、支配の概念をどのように適用するかについて明らかでないとの指摘がなされていました。そもそもサービスは引き渡された瞬間にのみ存在し、このような無形の財・サービスについて、顧客へ移転する前に支配することができるのかという疑問が生じていました。


② 代理人となる指標について


IFRS第15号では、本人か代理人かを検討する際、企業が代理人であることを示す指標として、以下のa~eの5つの指標を設けていました。しかし、代理人であることを示すこれらの指標は、「支配」の概念とは異なる従来の収益認識モデル「リスクと経済価値」の概念から引き継がれたものであり、支配の有無とは直接関連性がないと思われる指標があるなど、支配の原則と諸指標が整合するのかという指摘がなされていました。


企業が「代理人」であることを示す指標
  1. 契約履行の主たる責任
  2. 在庫リスク
  3. 価格設定における裁量権
  4. 対価の形式
  5. 信用リスク



NEXT:「本人か代理人かの検討についての明確化の内容および設例」