Knowledge/解説コラム

【代表者コラム】2015年上半期IPO市場の動向

菊川 真  プライムジャパン代表 公認会計士

2015/07/24

サマリー



1. はじめに


IPOfirst
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2015年上半期の新規上場会社数は45社となり、前年同期比19社増となった。好調な株式市場が追い風となっていることに加えて、ここ数年取り組んできた成長戦略に基づいた新規上場促進策が奏功していると言える。
本レポートでは、2015年上半期におけるIPO市場を振返りながら、その動向を整理してみたい。なお文中の意見にわたる部分は筆者の私見である。


図表1.日経平均株価の推移


図表2.IPO制度を巡る見直しの流れ



2. 2015年上半期のIPO市場の動向


(1)IPO社数は6年連続増加見込み

近年のIPO市場は、2010年から昨年まで5年連続で増加しているが、本年上半期のIPO社数も、前年同期(26社)より19社増の45社と、引き続き好調な流れを維持していると言えよう。
このようなIPO市場の活況は、上昇トレンドにある株式市場を背景に、新規公開株に資金が流入していることが大きな要因として挙げられるが、ここ数年来取り組んできた一連の上場制度の見直し、上場基準緩和およびIPOに伴う負担の軽減策が功を奏している側面も見逃せない(図表2)。

新規上場会社数の推移(単位:社)



(2)業種別では情報・通信業が3年連続で増加

業種別内訳では、情報・通信業が全体の約3割を占め、引続きトップとなっている。上位3業種(情報・通信業、サービス業、小売業)のシェアは6割超を占め、ここ数年と同様の傾向が続いている。
情報・通信業に関しては、IT関連を中心として、ソフトウェア等の開発やソーシャル系アプリ・ゲームなど、さまざまなビジネスを展開している企業が含まれているが、その他の業種においても、専門性の高い独自サービスを提供する個性的な企業が新規上場の門を叩いている。

【2015年上半期IPO企業の事例】
・Gunosy (サービス):情報キュレーション技術によるニュースアプリ
・ヘリオス(医薬品):iPS細胞を用いた再生医療ベンチャー
・日本スキー場開発(サービス):スキー場の運営
・サンバイオ(医薬品):脳梗塞などの再生細胞薬開発ベンチャー
・日本動物高度医療センター(サービス):高度医療を提供する動物病院
・ヒューマンウェブ(小売業):オイスターバーの運営等


2015年上半期 業種別内訳


業種別内訳の比較



(3)市場別ではマザーズが7割

今上半期の特徴の一つは、マザーズへの上場が31社と全体の約7割を占めるに至ったことである。マザーズへの上場は、ここ数年増加傾向にあるが、 2013年上半期8社、2014年上半期10社と比較した場合でも、その顕著な傾向が窺える。マザーズは、その市場コンセプトにもある通り、成長企業向けのステップアップ市場としての位置付けをより明確にしたと言える。

業種別内訳の比較


業種別内訳の比較


業種別内訳の比較



(4)新規上場までの年数

創業から新規上場に至るまでにかかった平均年数は、2014年通期は22年、2015年上半期は21年と大きな差はない。また、全体の6割~7割の企業が設立5年~20年の間に新規上場を果たしている点についても同様である。
2015年上半期の特徴としては、設立5年未満のIPO企業が5社を数えた一方で、設立50年以上の企業も7社存在し、創業間もない新興企業から伝統ある中堅企業までIPO市場の裾野が広がった点が挙げられる。東証は、既存産業における中堅企業の上場を促す対策の一つとして、本則市場の上場基準の見直し等も実施しており、その効果が実績としても現れているのではないだろうか。

業種別内訳の比較