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【会計情報トピックス】平成27年3月期決算の留意事項

2015/03/30

平成27年3月期決算では、退職給付会計基準の改正項目のうち、退職給付債務等の計算方法および割引率に関する取扱いが原則適用となる。また平成27年度税制改正の公布に応じて、税効果会計に与える影響も考慮する必要があるほか、改正企業結合会計基準の早期適用も可能となる。以下、本稿では、平成27年3月期における決算上の留意事項についてポイントを解説する。


Ⅰ.退職給付会計関連


平成24年5月、退職給付に関する会計基準が改正され、企業会計基準委員会(ASBJ)より企業会計基準第26号「退職給付に関する会計基準」(以下、「退職給付会計基準」という)および企業会計基準適用指針第25号「退職給付に関する会計基準の適用指針」(以下、「退職給付適用指針」という)が公表された。当該改正は、変更項目によって適用開始時期が異なっている。以下では、平成26年3月期適用の未認識数理計算上の差異等の処理方法の変更に伴う適用2期目の対応および平成27年3月期の期首から適用となる退職給付債務等の計算方法についてまとめている。


図表1 未認識項目の即時認識(適用2年目の対応)

項目留意事項退職給付
会計基準
退職給付
適用指針
未認識数理計算上の差異および未認識過去勤務費用の即時認識(連結のみ)未認識項目の即時認識は、連結財務諸表のみに適用されるが、適用初年度については、その他の包括利益を通さないで、直接純資産の部のその他の包括利益累計額に計上するものとされていた。適用2年目となる平成27年3月期については、その他の包括利益を通して、純資産の部のその他の包括利益累計額に計上することになる点に留意が必要である。13項
15項
24項
25項
(1)未認識項目の即時認識
  • 未認識数理計算上の差異および未認識過去勤務費用は、税効果を調整した上で、その他の包括利益「退職給付に係る調整額」を通じて、純資産の部のその他の包括利益累計額「退職給付に係る調整累計額」に計上する。
  • 退職給付債務と年金資産の差額を「退職給付に係る負債」(または「退職給付に係る資産」)として計上する。
  • 連結子会社に少数株主が存在する場合には、親会社持分相当額をその他の包括利益累計額に計上し、少数株主持分相当額は少数株主持分に計上する。
  • また持分法適用会社の未認識項目については、投資会社の持分相当額のみを投資会社株式の増減として処理し、その他の包括利益については、「退職給付に係る調整額」ではなく、「持分法適用会社に対する持分相当額」などとして一括して区分表示する。ただし、連結貸借対照表上は「退職給付に係る調整累計額」に含めて表示する。
(2)組替調整
未認識項目について、個別財務諸表は遅延認識を継続適用する一方、連結財務諸表上では即時認識するため、その他の包括利益累計額に計上されている未認識数理計算上の差異および未認識過去勤務費用のうち、当期に費用処理された部分については、その他の包括利益の調整(組替調整)を行うことになる。
(3)注記
未認識項目の即時認識の適用2期目では、その他の包括利益に計上された数理計算上の差異および過去勤務費用の内訳を「退職給付に関する注記」として記載することになる。注記に当たっては、当期発生額だけでなく費用処理に係る組替調整による計上額の合計を記載する。また、当該内訳は税効果控除前の数値を記載することになる点に留意が必要である。
30項58項
開示例1

図表2 退職給付債務の計算方法等(適用初年度)

項目留意事項退職給付
会計基準
退職給付
適用指針
退職給付債務および勤務費用の計算方法(1)適用時期
  • 退職給付債務および勤務費用の計算方法の変更については、平成26年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用する。
  • なお、平成26年4月1日以後開始する事業年度の期首からの適用が実務上困難な場合には、所定の注記を条件に、平成27年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用することができる。
  • 適用初年度の取扱いとして、過去の期間の財務諸表に対しては遡及処理しない。
  • また、適用に伴って生じる会計方針の変更の影響額については、期首の利益剰余金に加減する。
35項
37項
(2)退職給付見込額の期間帰属方法
  • 退職給付見込額の期間帰属方法として、期間定額基準と給付算定式基準の選択適用可能とする。期間定額基準を採用していた場合であっても、適用初年度期首において給付算定式基準を選択することができる。当該期間帰属方法の変更によって生じた退職給付債務の変動は、期首の利益剰余金に加減する。
  • 給付算定式基準による場合、勤務期間の後期における給付算定式に従った給付が、初期よりも著しく高い水準となるときは、当該期間の給付が均等に生じるとみなして補正した給付算定式に従う。
19項
38項
11項
12項
13項
(3)割引率
割引率は、退職給付支払ごとの支払見込期間を反映するものでなければならない。割引率は期末における安全性の高い債券の利回りを基礎として決定する。当該割引率としては、例えば、退職給付の支払見込期間および支払見込期間ごとの金額を反映した単一の加重平均割引率を使用する方法や退職給付の支払見込期間ごとに設定された複数の割引率を使用する方法が含まれる。
20項
65項
注8
24項
30項
設例3
割引率等の計算基礎については、重要な変動が生じていない場合には、見直さないことができる。割引率に関する重要性基準(10%)の判定の結果、重要な影響を及ぼすと判断した場合には、見直しの上、期末の割引率を用いて再計算する。
割引率変更の要否について、適用初年度期首においては重要性基準を考慮せずに、改正後の基準により算定した新しい割引率を使用する場合、当該変更により生じた退職給付債務の差額は、本来数理計算上の差異に含めて処理されると考えられる。しかし、適用初年度の期首に関しては、新基準適用に伴う会計方針の変更の影響額に含めて、期首の利益剰余金に加減する取扱いが認められる。