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金利指標改革

~IFRS第9号及びIAS第39号の修正案~

プライムジャパン・コンサルティング
会計情報リサーチ

2019/05/10


国際会計基準審議会(IASB)は、2019年5月3日、公開草案「金利指標改革(IFRS第9号及びIAS第39号の修正案)」(以下、「本公開案」という)を公表しました。本公開草案は、金利指標改革に伴う不確実性のみを理由としたヘッジ会計の中止を生じさせる可能性のある特定のヘッジ会計の要求事項に対する救済措置を提供することを目的としています。
コメント期限:2019年6月17日

背景

銀行間取引金利(IBOR)などの金利指標は、国際金融市場において重要な役割を果たしています。しかしながら、いくつかの金利指標について市場操作が試みられたことにより、既存の金利指標の信頼が損なわれる事例が発生しました。これを背景に、G20は金融安定理事会(FSB)に主要な金利指標の根本的な見直しを行うよう依頼し、FSBでは主要な金利指標を改革する提言書 Reforming Major Interest Rate Benchmarksを公表しました。

一方で、IFRS第9号「金融商品」およびIAS第39号「金融商品:認識及び測定」における特定のヘッジ会計の要求事項では、企業に将来予測的な分析を要求しています。金利指標改革※1の結果、代替金利がどのようなもので、いつ行われるのかについて不確実性が存在し、特定の将来予測的なヘッジ会計の適用に影響を与える可能性が生じています※2。

IASBは、金利指標改革に伴う不確実性が存在する間の救済措置を提供するため、IFRS 第9 号およびIAS 第39 号の特定のヘッジ会計の要求事項の例外を提案することを決定しました。

なお、本公開草案は、既存の金利指標を代替金利に置換える前の期間における論点を取扱っており、置換時の論点に関する取扱いについてはまだ検討されていません。

※1本公開草案において、金利指標改革とは、IBORなどの既存の金利指標をFSBの提言に基づいた代替金利に市場全体で置き換えることを指している。
※2このような不確実性だけのために企業がヘッジ会計を中止すること、あるいは、そのような不確実性がなければヘッジ適格となる新たなヘッジ関係を企業が指定することを妨げる可能性が指摘されている。

本公開草案の主な内容

本公開草案では、IFRS 第9 号およびIAS 第39 号における特定のヘッジ会計の要求事項を修正し、ヘッジ対象のキャッシュ・フローとヘッジ手段のキャッシュ・フローの基礎となっている金利指標が、金利指標改革の結果として変更されないものと仮定して、企業が当該要求事項を適用することを提案しています。

発効日および経過措置

本公開草案では、IFRS 第9 号およびIAS 第39 号の修正を2020年1月1日以後開始する事業年度から適用することを提案しています。早期適用は認められ、当該修正は遡及適用されるものとしています。

以上