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組織再編とは、企業又は企業グループの組織を編成し直すことをいいます。
その目的は様々であり、複数あるグループ内企業を一つ又はより少ない数の会社にしたり、企業再生のために行ったりして企業又は企業グループの効率的な事業運営を行ったり、また社内のある事業を子会社化したり、外部の第三者から事業を取得して事業を拡大するなどの目的のために行われます。
組織再編を行う具体的な手法として、株式譲渡、合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡、現物出資の方法があります。
株式譲渡とは、売手企業の株主がその保有株式を買手企業に譲渡し、買手企業はその対価として現金を支払う手法をいいます。株式会社の買収方法として最も一般的に行われる方法です。株式譲渡の場合、買い手企業は既存株主から株主権を取得することにより、売り手企業の経営権を獲得する方法であり、売り手企業はそのまま存続することになります。
合併とは、複数の会社が契約によって1つの会社になることいいます。
合併には、吸収合併と新設合併の2つの方法があります。
吸収合併は、会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続する会社に承継させるものをいいます(会社法2条27号)。つまり、1つの会社が存続会社となり他の一方の会社の権利義務を包括的に承継し、他の一方の会社は清算手続を経ずに解散する方法です。
一方、新設合併は、二以上の会社がする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併により設立する会社に承継させるものをいいます(会社法2条28号)。つまり、全ての合併当事会社が消滅会社として清算手続きを経ずして解散し、新会社を設立し、合併当事会社の権利義務等の法律関係を包括的に新設会社に承継させる方法をいいます。
実際には、吸収合併が圧倒的に多くなっています。これは、新設合併にすると必要な許認可等を新たに取得する必要があったり、また上場会社の場合には新たな上場手続が必要になるなど、手続が煩雑になるからであると考えられます。
会社分割とは、株式会社(分割会社)が事業に関して有する権利義務の全部又は一部を、分割により、他の会社(分割承継会社)に包括的に承継させることいいます。
会社分割は会社法上、吸収分割と新設分割とに区分されます。
吸収分割とは、株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割後他の会社に承継させることをいいます(会社法2条 29号)。つまり、分割した事業を既存の別会社に承継させる方法です。
一方、新設分割とは、一又は二以上の株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割により設立する会社に承継させることをいいます(会社法2条 30号)。つまり、分割した事業を新設の会社に承継させる方法です。
また、会社分割は税務上、分割型分割と分社型分割とに区分されます。
分割型分割とは、会社分割した際に分割の対価として、分割される会社(分割会社)の株主に対して株式が交付されるような会社分割のことであり、人的分割ともいいます。
一方、分社型分割とは、分割の対価が、もとの分割会社に株式が交付されるような会社分割のことであり、物的分割ともいいます。
株式交換とは、株式会社がその発行済株式(株式会社が発行している株式をいう。以下同じ。)の全部を他の株式会社又は合同会社に取得させることをいいます(会社法2条31号)。
その結果、その株式会社は他の株式会社の完全子会社(100%子会社)となります。
株式移転は、一又は二以上の株式会社がその発行済株式の全部を新たに設立する株式会社に取得させることをいいます(会社法2条32項)。
その結果、新設の株式会社が設立され、従来の株式会社は新設会社の完全子会社(100%子会社)となります。
事業譲渡とは、会社の営業の全部又は一部を他の会社に譲渡することをいいます(会社法第467条1項)。
ここで「事業」とは、一定の営業目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産(得意先関係等の経済的価値のある事実関係を含む。)の全部または重要な一部を譲渡し、これによって、譲渡会社がその財産によって営んでいた営業的活動の全部または重要な一部を譲受人に受け継がせ、譲渡会社がその譲渡の限度に応じ法律上当然に競業避止義務を負う結果を伴うものをいうもの」と定義されています。
譲渡会社は競業避止義務を負う旨が会社法第21条に定められています。
現物出資とは、株式会社の設立または新株発行に当たり、株式の対価として金銭以外の財産をもってする出資を行うことをいいます(会社法28条1号)。